前編では、セス・マテリアルを通じて、私たちの「意識」こそが現実の根源的な基盤である、という衝撃的なメッセージに触れました。
では、ここからが本題ですが、そのパワフルな『意識』は、具体的にどのようにして、私たちの目の前にある『現実』を形作っているのでしょうか?
私たちの人生における様々な出来事は、いったいどんな仕組みで生み出されているのでしょう?
この後編では、いよいよセスと共に、その核心へと迫る**「創造の旅」**に出発します。
あなたの思考や感情、そして心の奥深くにある「観念(ビリーフ)」が、どのように現実を設計していくのか。
時間や空間、そして生まれ変わりの概念は、現実創造とどう関わっているのか。
そして、私たちがより望ましい現実を意識的に創り出すための、セスからの実践的なヒントとは何かを探っていきます。

あなたの「観念」が世界を創る – セスの現実創造論
信念、思考、感情が持つ力

セス・マテリアルが私たちに繰り返し伝える、最もパワフルで核心的なメッセージ。
それは、「あなたは、あなた自身の現実を創り出す」というものです。これは単なる比喩ではありません。
セスによれば、私たちの思考、感情、そして特に心の奥底にある「観念(信念、ビリーフ)」は、目に見えないエネルギーの型となり、それが物質的な現実として結晶化するのだと言います。
あなたが世界をどのように認識し、自分自身について何を信じているか。
それが、あなたの体験する出来事、人間関係、健康状態、豊かさなど、人生のあらゆる側面を形作る設計図となるのです。
ポジティブな期待はポジティブな結果を引き寄せやすく、逆に制限的な信念は、その信念を証明するような現実を創り出しやすい、とセスは示唆します。
「あなたは自分の現実を創る」という核心
「自分の現実は自分で創る」という言葉は、大きな自由と可能性を示唆すると同時に、大きな責任も伴います。
なぜなら、望まない現実を体験している場合でさえ、その根源には(たとえ無意識的であっても)自分自身の内なる信念や思考パターンが関与している可能性があるからです。
しかし、これは決して自己非難のための教えではありません。
むしろ、「もし自分が現実を創っているのなら、望むように創り変えることもできる」という、計り知れないほどの力を私たちに思い出させてくれるメッセージなのです。
(補足考察)バシャールの視点:
セスのこの教えは、バシャールが語る「観念(ビリーフシステム)」の重要性と深く結びついています。
バシャールによれば、観念とは「あなたが真実だと同意したもの」であり、それがあなたの現実認識のフィルターとして機能します。
そして、そのフィルターを通してしか、あなたは現実を体験できないのです。
バシャールは、観念には大きく分けて「ポジティブな観念(自分を制限せず、可能性を広げるもの)」と「ネガティブな観念(自分を制限し、可能性を狭めるもの)」があり、どちらの観念を持つかによって、引き寄せる現実や感情的な反応が全く異なってくると言います。
重要なのは、観念は絶対的な真実ではなく、変えることができる「選択」である、ということです。
自分がどんな観念を持っているかに気づき、望まない現実を生み出す観念を手放し、望む現実をサポートする観念を意識的に選択していくことが、現実創造の鍵となります。
無意識の観念とその影響

セスはまた、私たちが意識している思考だけでなく、自分では気づいていない「無意識の観念」の影響力の大きさも指摘します。
幼少期の経験や社会的な刷り込みなどによって形成された、深層心理にある思い込みが、私たちの行動や選択、そして現実のパターンに強い影響を与えている場合があります。
だからこそ、自分自身の内面を深く見つめ、どんな観念が自分の現実を動かしているのかに気づくプロセスが重要になるのです。
「今」を変えれば未来も過去も変わる? – 時間と並行現実
セスの語る時間の非線形性
前編でも触れたように、セスは時間を過去から未来へ流れる一本の直線とは捉えません。彼によれば、時間はもっと柔軟で、多次元的な性質を持っています。
「今この瞬間」こそが、すべての経験が生まれるパワフルな中心点(Point of Power)なのです。
これはつまり、「今」のあなたの意識状態、思考、感情、そして選択が、未来の経験を形作るだけでなく、過去の出来事に対する解釈や、それが現在のあなたに与える影響力さえも変えることができる、ということです。

可能性としての「並行現実」
さらにセスは、「並行現実(Parallel Realities)」という驚くべき概念を提示します。
これは、私たちが「今」選択しなかった別の可能性の世界も、実際に存在しているという考え方です。
無数の可能性のバージョンの現実が同時に存在しており、私たちの意識(特にその信念と期待)が、どの現実のバージョンを体験するかを決定している、とセスは示唆します。
(補足考察)バシャールの視点:
セスの並行現実の概念は、バシャールの説明によって、さらに鮮明なイメージを持つことができるでしょう。
バシャールによれば、私たちは毎瞬、毎瞬、意識の状態(周波数)をわずかに変化させることで、異なる並行現実へとシフトし続けていると言います。
それは、映画のフィルムが連続する静止画(フレーム)で構成されているように、私たちの現実体験も、無数の静止した並行現実のフレームを高速で移動(切り替え)しているようなものなのです。
この視点から見ると、「未来を変える」とは、これからシフトしていく先の並行現実のフレームを、意識的な選択によって変えることであり、「過去を変える」とは、過去の出来事が含まれるフレームに対する「今」の自分のエネルギー的な繋がり方(意味づけ、感情)を変えること、と言えます。
過去の再解釈と未来の創造
過去の出来事そのものを消すことはできませんが、「今ここ」でその出来事に対する見方や意味づけを変えることで、過去の出来事が現在のあなたに与える影響(トラウマや制限的な信念など)から自由になることは可能です。
これが、セスやバシャールの言う「過去を変える」ことの一つの意味です。
(補足考察)バシャールの視点:
バシャールが重要視する「許し(Forgiveness)」の概念も、これと深く関わっています。
許しとは、他者を許すことだけでなく、過去の自分自身や、過去の出来事に対するネガティブな感情エネルギーを手放すことです。
過去への執着を手放し、「今ここ」に意識を集中することで、私たちはより自由に未来の並行現実を選択し、創造していくことができるようになるのです。
魂の旅と進化 – 生まれ変わりの視点

セスが語る転生の意味
セスは、私たちが一般的に「死」と呼ぶものは終わりではなく、意識の旅の一つの移行点に過ぎない、と語ります。
そして、多くの魂は、様々な時代、文化、状況の中で、多様な人生を経験すること(生まれ変わり、転生)を選択すると言います。
セスによれば、転生の目的は、単に過去生のカルマを解消するためだけではありません。
それは、魂が持つ無限の可能性を探求し、様々な経験を通じて学び、成長し、自己のあらゆる側面を表現するための、壮大な冒険なのです。
多様な生を通じた魂の学びと成長
男性として、女性として、裕福な家庭に、貧しい環境に、芸術家として、科学者として… 様々な人生経験を通じて、魂は共感、理解、愛、創造性といった質を多角的に深めていきます。
セスは、より高次の視点から見れば、これらの多様な生は直線的な順序で起こっているのではなく、ある意味で「同時」に存在し、相互に影響を与え合っていると述べています。
(補足考察)バシャールの視点:
バシャールもまた、魂の旅について同様の視点を提供しています。
彼は、私たちの魂は「オール・ザット・イズ(すべてなるもの)」のユニークな反映であり、その「すべてなるもの」の無限の側面を経験するために、自ら様々な人生のシナリオ(役割、挑戦、学びのテーマ)を選んで生まれてくると言います。
困難に見える経験でさえ、魂のレベルでは、特定の成長や理解を得るための貴重な機会として選択されている可能性があるのです。
現実創造の実践 – セスからのヒント
では、私たちは具体的にどのようにして、より望ましい現実を意識的に創造していくことができるのでしょうか?
セス・マテリアルは、そのための実践的なヒントも数多く提供しています。
意識的な選択と集中
まず基本となるのは、自分の思考や感情、そして根底にある観念に意識的になることです。
そして、自分が本当に望む現実はどのようなものかを明確にし、その望む現実に意識の焦点(アテンション)を合わせ、エネルギーを注ぎ続けることが重要です。
これは、思考の力を使って意図的に現実を創造していくプロセスです。
感情のナビゲーションシステム

セスは、私たちの感情が、内なる自己からの重要なメッセージであり、現実創造の羅針盤であることを強調します。
喜び、愛、感謝といったポジティブな感情は、あなたの思考や行動が魂の望む方向性と一致していることを示すサインです。
一方、恐れ、怒り、不安といったネガティブな感情は、あなたが本来の自分自身や望む現実からズレた観念を持っていることを知らせるアラームのようなものです。
これらの感情を無視したり抑圧したりするのではなく、その感情が何を伝えようとしているのかに耳を傾け、必要であれば観念や思考を修正していくことが、望む現実への軌道修正に繋がります。
(補足考察)バシャールの視点:
この「感情のナビゲーションシステム」という考え方は、バシャールが最も重要視するコンセプトの一つ、「あなたのワクワク(情熱)に従いなさい(Follow your bliss/excitement)」と完璧に重なります。
バシャールによれば、「ワクワク」とは、あなたのハイアーマインド(内なる自己)が「これがあなたにとって最も真実で、最も成長を促し、最も喜びに満ちた道ですよ!」と送っている最高のシグナルなのです。
ワクワクする気持ちに従って行動するとき、あなたは最も抵抗の少ない道を進み、必要なものはシンクロニシティによって自然にもたらされる、と彼は言います。
シンクロニシティを活かす
意識的に現実創造に取り組んでいると、しばしばシンクロニシティ(意味のある偶然の一致)が起こり始めます。
探していた情報が偶然見つかったり、必要な人物にばったり出会ったり、インスピレーションが湧いてきたり…。
セスは、これらは単なる偶然ではなく、あなたの内なる自己や宇宙が、あなたの意図に応え、導きを与えているサインであると捉えるよう促します。
これらのサインに気づき、信頼し、流れに乗っていくことが、スムーズな現実創造を助けます。
(補足考察)バシャールの視点:
バシャールもまた、シンクロニシティはハイアーマインドからのコミュニケーションであり、あなたが正しい道を進んでいること、そして宇宙があなたをサポートしていることの証拠であると語ります。
シンクロニシティが頻繁に起こるときは、あなたのエネルギー(周波数)が望む現実と調和し始めているサインであり、自信を持ってそのまま進むよう促されています。
偶然に見える出来事の中に隠されたメッセージを読み解き、感謝と共に受け取ることが大切です。
行動の重要性
セスにとって、現実創造の根源はあくまで内なる意識(思考、感情、信念)にあります。
しかし、それは行動が不要だという意味ではありません。
むしろ、健全でポジティブな内面状態は、自然で建設的な行動へと繋がり、その行動を通じて物理的な現実が形作られていく、と考えられています。
特に、論理だけでなく、内から湧き上がる「自発的な衝動」や「ポジティブな感情」に従って行動することが、効果的な現実創造の鍵の一つとして示唆されていると言えます。
まとめ:あなたはパワフルな創造主
後編では、「現実はどう創られるのか?」という問いを深く掘り下げてきました。
セスが明らかにしたのは、
- 私たちの観念(信念)が、思考や感情を通じて現実を設計する力を持つこと。
- 時間は直線的ではなく、「今ここ」での意識的な選択が過去にも未来にも影響を与え、並行現実の中から体験する世界を選び取っていること。
- 生まれ変わりは魂の壮大な学びと成長の旅であり、多様な経験を通じて自己を探求するプロセスであること。
- 意識的な選択、感情のナビゲーション、そしてシンクロニシティを活かすことで、私たちは望む現実を自ら創造していくことができること。
これらの洞察は、私たち一人ひとりが、自分の人生というドラマの脚本家であり、監督であり、そして主演俳優でもある、パワフルな創造主なのだという真実を思い出させてくれます。
もちろん、この知識を理解するだけでなく、日々の生活の中で意識し、実践していくには、根気と勇気が必要かもしれません。長年持ち続けてきた観念を変えることには抵抗を感じることもあるでしょう。
しかし、セス・マテリアルが差し伸べてくれる手は、常に希望に満ちています。
あなたの中には、あなたが想像する以上の力が眠っています。自分自身の内なる声に耳を澄ませ、本来の創造力を信頼し、喜びと好奇心を持って、あなただけのユニークな人生をデザインしていってください。