前編では、チャネリングを「ラジオのチューニング」に例え、高次元の言葉を受け取るための「器」の作り方について解説しました。
私たちは、自らの潜在意識というフィルターを磨き、語彙というツールボックスを豊かにし、瞑想によって内面の静寂を保つことで、初めて微細な宇宙の波動を捉えることができます。
しかし、いかに優れた受信機(器)を完成させたとしても、そこから始まる「航海」には常に危険が伴います。
高次元への参入を試みる者の前には、自己の内面から生じる「エゴの罠」と、外部の多次元領域から届く「サイキック・グリーティング(霊的挨拶)」という二つの大きな試練が待ち受けているからです。
後編では、カーラ・ルカートが本書の後半で最も警鐘を鳴らし、かつ実践的な対処法を提示した「識別力(ディサーンメント)」と「倫理」について、深く考察していきます。
これは単なる技術論ではありません。
あなたの魂が、この地上でいかに誠実に光の奉仕者として生きるかという、存在の変容を問う物語です。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

第5章:エゴという最大の敵――「特別な自分」という甘い誘惑
チャネラーにとって、最も巧妙で、かつ破壊的な敵は外部の悪霊などではありません。
それは、自分自身の内側にある「エゴ」です。
エゴは、光が強まれば強まるほど、その光を利用して自らを肥大化させようと画策します。
「具体情報」という罠:なぜ予言は危険なのか
チャネラーがしばしば陥る最初の罠は、「具体的な予言」や「個人的な指示」を流し始めることです。
「○月○日に何かが起きる」「あそこへ行きなさい」といった情報は、一見すると具体的で価値があるように思えます。
しかし、カーラはこれに強い注意を促しています。
なぜなら、真にポジティブな高次意識(光の連合など)は、人間の「自由意志」を何よりも尊重するからです。
彼らは、人間が自らの選択によって学び、成長することを妨げません。
具体的な答えを教えることは、試験のカンニングペーパーを渡すようなものであり、魂の進化を阻害する行為に他ならないのです。
もし、あなたのチャネリングが「具体的な日付」や「場所」に固執し始めたら、それは低層の知性による干渉か、あるいは「自分は未来を知っている」というチャネラー自身のエゴが情報を書き換えている可能性が高いと言えます。
「選民意識」のウイルス

「私は高次元の○○から選ばれた特別なメッセンジャーである」――この思いが芽生えた瞬間、チャネラーのバイブレーションは急速に下落します。
カーラは、チャネラーを「水を運ぶパイプ」に例えました。
パイプ自体が水を作っているわけではありません。
パイプの価値は、いかに清潔で、滞りなく水を流せるかにあります。
自分をパイプではなく「特別な源泉」だと思い込み、周囲の人々を「教えを乞うべき未熟な大衆」と見なし始めたとき、そのパイプは「自己重要感」という錆で腐食し、もはや純粋な水を運ぶことはできなくなります。
依存の創出と「グル化」の倫理的破綻
ポジティブなチャネリングの目的は、聞き手が自立し、自分自身の内なる神性に目覚めることを助けることです。
しかし、エゴに囚われたチャネラーは、しばしば聞き手を自分に依存させようとします。
「私を通さないと神の声は聞こえない」といった主張は、奉仕(Service to Others)ではなく、支配(Service to Self)への道です。
他者の自由意志を奪い、自分の傘下に置こうとする行為は、いかに高尚な言葉を並べようとも、その根源的なエネルギーはネガティブな極性に属しています。
第6章:サイキック・グリーティング(霊的挨拶)への対処
光を強く放つようになると、宇宙のバランスを保つ力学として、それに対抗するエネルギーが引き寄せられます。
これをカーラは「サイキック・アタック(攻撃)」ではなく、親愛を込めて「サイキック・グリーティング(挨拶)」と呼びました。
なぜ「挨拶」と呼ぶのか
「攻撃」という言葉を使うと、私たちの心には「恐怖」や「怒り」が生まれます。
しかし、ネガティブな存在にとって「恐怖」こそが最大のエネルギー源です。
彼らを恐れることは、彼らにさらなる力を与えることに他なりません。
一方で、「挨拶」と捉えることは、その現象を「自分の光が強まったことの証明」、あるいは「霊的な筋肉を鍛えるためのトレーニング・パートナー」として認識し直すことを意味します。
この視点の転換こそが、最強の防衛術となります。
恐怖を愛に変える「光の防衛術」

サイキック・グリーティングを受けた際のカーラの対処法は、驚くほどシンプルで、かつ究極的です。
それは、その対象に対して「無条件の愛を送り、一なる創造主の祝福を祈る」ことです。
しかし、これが抽象的で難しく感じることもあるでしょう。
具体的には、以下のようなプロセスを意識的に踏むことが推奨されます。
- イメージの転換:
目の前の不快なエネルギーや存在を「敵」としてではなく、「光を忘れて道に迷い、苦しんでいる一なる創造主の一部」として視覚化します。
暗闇の中で怯えている子供、あるいは傷ついた野獣のようなイメージを持つと、自然に慈悲の心が湧きやすくなります。 - 具体的なアファメーション:
心の中で、あるいは静かに声に出して次のように唱えます。「一なる創造主の御名において、あなたを愛しています。あなたの中に宿る光を祝福します。あなたが真の故郷である光の源へと還り、安らぎを得られるよう祈ります」。 - 黄金の光の放射:
自分のハートチャクラ(緑の光線)から温かい黄金の光が溢れ出し、その不快なエネルギーを優しく、しかし力強く包み込む様子を強くイメージします。
ネガティブな極性の存在は、この高純度の「愛」という振動数に耐えることができません。
怒りや恐怖で応戦すれば、あなたは彼らと同じ低い土俵に引きずり込まれますが、純粋な愛で包み込むと、彼らはもはや干渉を維持するためのエネルギー的接点を失い、去っていくしかなくなります。
これは強引な排除ではなく、周波数の「圧倒的な不適合」によって、自然と調和がもたらされるプロセスなのです。
「隙」を塞ぐ:内面への真摯な省察
外部からの干渉が入り込むとき、そこには必ず「自分自身の内面にある隙(アンバランス)」が存在します。
ネガティブな知性は、チャネラーの意識の防壁にある微細な「亀裂」を入り口にするからです。
サイキック・グリーティングを感じたとき、私たちはまず自分自身を鏡に映すように内省する必要があります。
- 隠れた怒りや批判:
「あの人の態度は許せない」
「あんな考え方は間違っている」
といった、他者や社会に対する裁きの心はありませんか?
表面上は奉仕を装っていても、深層心理に「怒り」の火種があれば、それはネガティブなエネルギーを強力に惹きつける磁石となります。 - 不誠実な自己欺瞞:
自分に嘘をついている部分はありませんか?
自分の本当の感情を抑圧したり、誰かを操作しようとする微かな意図があったりすると、意識の統合性が損なわれ、そこが霊的な脆弱性となります。 - 肉体的なケアの怠慢:
睡眠不足、栄養の偏り、過労による衰弱。
カーラはこれらも「隙」であると強調しました。
肉体は魂の神殿であり、そのバイタリティが低下すれば、オーラ(エネルギーフィールド)の弾力性が失われ、外部からの影響を受けやすくなるのは自然な帰結です。
したがって、サイキック・グリーティングを経験したとき、チャネラーが最初に行うべきは「外部の敵を呪う」ことではなく、一歩引いて静かになり、「今、私のどこにバランスの欠如があるのか?」と謙虚に問い直すことなのです。
内面のバランスが整い、亀裂が塞がれば、いかなる外部の干渉もあなたに触れることはできなくなります。
第7章:チャネラーの倫理と誠実さ――日常への着地
スピリチュアルな探求が深まるほど、私たちは「地上での生活」を疎かにしがちです。
しかし、カーラは「地に足のついたスピリチュアリティ」を極めて重視しました。
なぜなら、目に見えない世界との接続が本物であればあるほど、その成果はこの物理世界における「生き方」の質の向上として現れるはずだからです。
日常の些細な規律を欠いたまま高次元を語ることは、砂上の楼閣を築くことに等しいのです。
金銭と奉仕のバランス

「チャネリングでお金を取っていいのか?」という問いに対し、カーラは現実的かつ慈悲深い視点を持っています。
彼女自身は経済的に恵まれていたため、寄付を募る非営利の形を貫きましたが、専業として活動する者が公正な対価を受け取ること自体を否定はしていません。
ここで最も重要なのは、「お金を稼ぐために情報をコントロール(歪曲)していないか」という一点です。
クライアントが望む甘い言葉だけを並べ立てたり、リピーターを確保するために過度に恐怖を煽って依存を促したりする行為は、魂の契約に対する重大な裏切りです。
金銭はエネルギーの循環の一形態であり、提供したサービス(時間やエネルギー)に対して誠実な対価を受け取ることは、むしろ「不足の意識」から脱却するために必要な場合もあります。
しかし、そこに「欲」や「操作」が介在した瞬間、高次元との接続パイプには致命的な不純物が混じり、届くメッセージの質は著しく劣化することを忘れてはなりません。
沈黙と守秘義務の重み
チャネリングセッションを通じて、誰かの人生における最も深い悩みや、本人さえも気づいていない潜在意識の奥底にある情報に触れることがあります。
この時、チャネラーは医師、弁護士、あるいは告解を聞く僧侶と同じように、厳格な守秘義務を負います。
相談者のプライバシーを「特別なエピソード」として他人に吹聴したり、SNSで匿名性を装いながらも特定可能な形で共有したりすることは、他者の尊厳を踏みにじる極めて不誠実な行為です。
この信頼を裏切る行為は、即座にチャネラーのエネルギーフィールドを汚染し、接続されるソースの周波数を低下させます。
情報の神聖さを守ることは、相談者の魂を守ることと同義であり、それはチャネラーとしての最低限かつ絶対的なマナーなのです。
「変人(スペースアウト)」にならない

「私は高次元と繋がっているから、世俗のつまらないルールや責任はどうでもいい」という態度は、霊的な成熟とは正反対の、単なる未熟さの露呈に過ぎません。
カーラは、真に優れたチャネラーこそ、善良な市民であり、誠実な社会人であるべきだと強く説きました。
チャネリングは、過酷な現実から逃避するための「魔法の杖」ではありません。
むしろ、「この不完全で、制約の多い地上において、いかに無条件の愛を体現し、具体的に行動するか」を学ぶためのツールです。
住居を清潔に保ち、健康を管理すること。
こうした「地に足のついた」当たり前の誠実さの積み重ねこそが、高次元のコンタクトを支えるための最も頑強な「物理的基盤」となります。
あなたがこの世界で「信頼に足る人物」であって初めて、あなたの降ろす言葉もまた、他者の人生を照らす真の光となり得るのです。
期限を守り、約束を果たすこと。
家族や友人を大切にし、温かい人間関係を築くこと。
第8章:既存の信仰・社会との調和
カーラ自身、生涯を通じて熱心なキリスト教徒(米国聖公会:エピスコパル教会)であり続けました。
彼女にとって『ラー文書』を通じて届けられたメッセージは、幼少期から親しんできた聖書の教えを否定するものではなく、むしろその奥義を解き明かし、魂のレベルで信仰を補完し、完成させるものでした。
彼女は日曜日の礼拝を欠かすことなく、パイプオルガンの音色や伝統的な典礼の中に、高次元情報の核心である「一なる創造主の愛」を等しく見出していたのです。
伝統と革新の融合
「今持っている宗教的信念と、チャネリングからもたらされる宇宙的情報が矛盾してしまう」という葛藤は、多くの探求者が直面する壁です。
しかしカーラは、古い殻(教義)を壊すことではなく、その中にある「真珠」を見つけることを勧めました。
キリスト教の「隣人愛」も、仏教の「慈悲」も、ラーの説く「他者への奉仕」も、表現は違えどすべては同じ一なる源泉から流れ出たものです。
チャネリング情報は、伝統的な教義を破壊するための武器ではなく、形骸化した言葉の裏に隠された「生きた真理」を再び輝かせるための補助光となります。
また、彼女が自分の教会の司祭に対して、自身の活動を隠さずオープンに相談し、アドバイスを求めていたことは極めて重要です。
この透明性は、カルト的な閉鎖性や「自分だけが真実を知っている」という霊的な傲慢さを防ぐための、強力な防衛策となりました。
「一なるもの」の視点で生きる
スピリチュアルな視点を持たない社会や、異なる価値観を持つ人々との間に摩擦が生じたとき、私たちはどう向き合うべきでしょうか?
カーラが遺した極めて実践的な知恵は、「決して論争に加わらない」ことです。
「一なるものの法則」の視点に立てば、あなたを批判する者も、理解しようとしない社会も、すべては一なる創造主の別の側面であり、鏡に映った「あなた自身」の一部に他なりません。
相手を説得したり、自分の情報の正しさを証明しようと躍起になるエネルギーは、宇宙に「分離」の波動を上書きするだけであり、それは奉仕とは真逆の結果を招きます。
真の奉仕とは、言葉で教えを説くことではなく、あなた自身が「愛と光のバイブレーション」そのものとして、ただ静かにそこに在ることです。
混乱した対立の場にあっても、一人のチャネラーが安定した平安を保っていれば、その存在感自体が周囲の重い波動を中和し、穏やかな変容を促す触媒となります。
これこそが、最も効果的な社会貢献であり、一なる創造主へ捧げる最も美しい奉仕の形なのです。
結論:チャネリングは「魂の成熟」への道
前編と後編にわたってお届けした『チャネリング・ハンドブック』の解説も、いよいよ結びとなります。
カーラ・ルカートが私たちに伝えたかったこと。
それは、チャネリングという技術そのものではありません。
それは、「チャネリングというプロセスを通じて、いかに自分自身を磨き上げ、一なる創造主の純粋な奉仕者へと変容していくか」という魂の修行の道です。
チャネリングの本質は、宇宙の秘密を暴くことではなく、「あなたの心の中にある愛を、一滴も濁らせることなくこの地上に注ぎ出すこと」にあります。
もしあなたが今後、自分の内側から届くささやきに耳を傾けようとするなら、どうか思い出してください。
- 強固な錨(他者への奉仕という意図)
- 磨き上げられた帆(知識と語彙)
- 正確なコンパス(瞑想と識別力)
- そして、すべてを包み込む「無条件の愛」
これらを備えたあなたの航海は、たとえ荒波の中にあっても、常に一なる創造主の光に照らされています。
カーラがそうであったように、あなたもまた、この地上に天の旋律を奏でる、美しき「聖なる器」となれるのです。
愛と光の中で、あなたの探求が豊かな実りをもたらすことを心より祈っています。
【参考・引用文献】
- [参考: 書籍『A CHANNELING HANDBOOK』Carla L. Rueckert 著 / L/L Research]
- 参考: L/L Research 公式サイト (llresearch.org)
- [参考: 書籍『ラー文書(一なるものの法則)』ドン・エルキンズ、カーラ・ルカート 著]
- [参考: ユング心理学『集合的無意識』の概念]