前編では、私たちの惑星に働きかけるポジティブとネガティブ、二つの宇宙的な力の性質を探求しました。
この中編では、視点をさらに内側へと向け、私たちの存在の核心そのものに迫ります。
なぜ私たちは過去生や魂の繋がりを忘れ、この物質世界で孤独や困難を経験しなければならないのでしょうか?
その答えは、私たちの霊的進化を壮大なスケールで設計したロゴス(宇宙の創造主)による「実験」と、私たち一人ひとりを未来から見守り導く「高次の自己(ハイヤーセルフ)」の存在に隠されています。
一見するとハンディキャップのように思えるこの「忘却」こそが、実は私たちの魂の成長を飛躍的に加速させるための、宇宙からの最も大いなる贈り物であったことを、ラーの言葉と共に解き明かしていきます。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

高次の自己(ハイヤーセルフ)とは何か?(SESSION 63, 69, 70)
私たちはこの人生の旅路を決して一人で歩んでいるわけではありません。
ふとした瞬間に感じるインスピレーション、困難な状況でなぜか湧き上がる希望、あるいは夢の中で受け取る不思議なメッセージ。
これらの経験の背後には、常に私たちを見守り、導き、そして私たちの成長を誰よりも深く願っている、賢明で愛情深い存在がいます。
それが「高次の自己」です。これは外部の守護天使とは異なり、あなた自身の本質的な一部であり、究極の自己なのです。
未来のあなたからの導き
ラーによれば、高次の自己とは、第六密度中期に存在する**「未来のあなた」**自身です。
第六密度は「愛と叡智の統合」がなされる統一意識の密度であり、そこに至ったあなたは、第三密度から第六密度に至るまでのすべての転生の経験を統合し、完全な知恵と、あらゆる存在をあるがままに受け入れる深い慈悲を備えています。
時間は私たちが感じるような直線的なものではないため、「未来」のあなたと「現在」のあなたは同時に存在しており、この高次の自己は、あなたがこの物質世界で経験を積むための、いわば監督兼ガイドのような役割を果たしています。
私たちは転生してくる前に、この高次の自己と共に、今回の人生で何を学びたいのか、どのような触媒(カタリスト)を経験するのが魂の成長に最も役立つのかを話し合い、人生の基本的な青写真(人生のプログラム)を設計しているのです。
例えば、「忍耐を学びたい」と願う魂は、意図的に遅延や障害の多い状況をプログラムするかもしれませんし、「無条件の愛を学びたい」と願う魂は、許しがたいと感じるような人間関係を自ら設定するかもしれません。
高次の自己は、どの課題が魂の成長に最も効果的かを、大いなる視点から知っているのです。
高次の自己とのコミュニケーション

高次の自己との繋がりは、私たちが「忘却のヴェール」によってその存在を思い出せないだけで、決して途切れてはいません。
そのコミュニケーションは、大声で語りかけるのではなく、私たちの日常の様々な形で、ささやきのように届けられています。
- 瞑想中にふと浮かぶ穏やかな気づき:
問題について悩んでいるとき、思考が静まった瞬間に訪れる「あ、そうか」という感覚。
それは、問題そのものを超えた、より高い視点からの解決策であることが多いです。 - 眠りから覚めてもなお心に深く残る象徴的な夢:
あなたの潜在意識が理解できるシンボルや物語を通して、現在の課題や進むべき道を示唆してくれます。 - 「理由はわからないけれど、こうすべきだと感じる」という確信に満ちた「直感」:
論理的な説明はつかないけれど、心の奥深くから湧き上がる、静かで力強い「知っている」という感覚です。
これらはすべて、高次の自己からの静かな内なる声です。
それは、外部の騒音や日々の忙しさの中ではかき消されがちですが、私たちが意識的に内側を向くとき、いつでもそこに存在しています。
人生で困難に直面したとき、私たちが心から「助けてほしい」「導きが欲しい」と助けを求めれば、高次の自己は必ずそれに答えてくれます。
この「求める」という行為自体が、自由意志の行使であり、高次の自己が介入するための許可を与えることに他なりません。
しかし、その助けは、問題を魔法のように直接取り除くという形ではなく、私たちが自らその問題を乗り越えるための「気づき」や「新たな視点」、「シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)」といった機会として与えられます。
例えば、悩みを解決する鍵となる本が偶然目に飛び込んできたり、探していた答えを持つ人物にばったり出会ったりするのです。
なぜなら、私たちの自由意志による選択と成長を妨げないことが、宇宙の最も重要な法則だからです。
もし高次の自己がすべての答えを与え、すべての障害を取り除いてしまったら、それはまるで試験官がテスト中に答えを教えてしまうようなものです。
それでは、私たちがこの第三密度に学びに来た意味が失われてしまいます。
魂の真の成長は、自らの力で課題を乗り越え、その経験から知恵を学ぶことによってのみ達成されるのです。
【補足解説】セスが語る「全我(Whole Self)」
ラーの高次の自己という概念は、ジェーン・ロバーツを通じて語られた存在、セスの教えと驚くほど類似しています。
セスもまた、私たちの現在の意識が、より広大な多次元的な自己である**「全我(Whole Self)」**の一部であると語ります。
セスによれば、私たちが「過去生」や「未来生」と呼ぶものは、実際にはこの「全我」が同時に体験している、異なる側面の人格に過ぎません。
ラーの高次の自己は、このセスの「全我」の概念と深く共鳴しており、私たちの意識が決してこの肉体や一生という枠に限定された孤立したものではなく、時空を超えた壮大な魂の物語の一部であることを示唆しています。
「忘却のヴェール」という壮大な実験(SESSION 63, 79, 82, 83)
なぜ私たちは、これほど強力な導き手である高次の自己の存在や、過去の転生の記憶を忘れて生まれてくるのでしょうか?
ラーはこの仕組みを**「忘却のヴェール」**と呼び、それが私たちのロゴス(この太陽系宇宙の設計者)による、霊的進化を加速させるための壮大な「実験」であったと語ります。
ヴェール以前の世界:停滞した楽園

このヴェールが導入される以前、第三密度の存在たちは、過去生や魂の繋がり、そして自らが創造主の一部であることを完全に知っていました。
彼らの世界は、ラーの言葉を借りれば「神聖な幸福」に満ちていました。
しかし、そこには大きな問題がありました。
困難や挑戦、そして「知らない」という探求の動機が欠けていたため、彼らの霊的成長は、非常に遅々としていたのです(SESSION 82)。
すべてを知っている状態では、真の「選択」は生まれにくく、魂は成長の機会を失い、停滞していました。
なぜ「知っていること」が停滞を生むのか?
この停滞のメカニズムを理解するために、私たちの経験に置き換えて考えてみましょう。
もしあなたが、ある試験の結果が「必ず合格する」と最初から分かっていたとしたら、その試験のために必死に勉強するでしょうか?
おそらく、最低限の努力はするかもしれませんが、自らの限界に挑戦し、深い理解を得ようとする情熱は湧き上がりにくいでしょう。
ヴェール以前の存在たちも、これと似た状況にありました。
彼らは「他者に奉仕することが善であり、進化への道である」と知っていました。
しかし、その知識は、厳しい状況の中で自らの弱さやエゴと向き合い、葛藤の末に他者を許し、愛することを選択するという、魂を揺さぶるような実体験を伴わない、いわば頭で理解しているだけの「正解」でした。
そこには、自己への奉仕という真の対極が存在しなかったため、「他者への奉仕」という選択に深みや重みが生まれなかったのです。
愛とは何かを真に理解するためには、愛のない状態、すなわち分離の幻想をリアルに体験する必要があります。
彼らの世界は、影のない光だけの世界のようなもので、それゆえに光そのものの輪郭もぼやけてしまっていたのです。
この「神聖な幸福」は、霊的進化の観点から見れば、抵抗のない水の中を泳いでいるようなものでした。
前に進むことはできても、筋肉(魂)を鍛え、成長させるための負荷が全くかからない状態です。
魂は、挑戦と困難という「抵抗」を乗り越えることで初めて、その強さと輝きを増すのです。
ヴェールの目的:選択の意義を高める

この状況を打開するため、ロゴスは意識と無意識の間に「ヴェール」を設けるという、画期的な実験を行いました。
これにより、私たちは自らの神性を忘れ、他者や世界から「分離」しているという強力な幻想の中に生まれてくることになったのです。
この「忘却」こそが、第三密度を「選択の密度」たらしめている核心的なメカニズムです。
何も知らない暗闇の中で、私たちは自らの内なる光だけを頼りに、手探りで真実を探求しなくてはなりません。
このプロセスを通して、私たちは他者を愛し、奉仕する道を選ぶのか、あるいは自己の利益のみを追求し、他者を支配する道を選ぶのかという、魂の根源的な選択を迫られます。
ヴェールのない世界での安易な選択とは異なり、この幻想の中での選択は、意志と信仰の力を必要とし、それゆえに遥かに大きな霊的両極化、すなわち魂の成長を生み出すのです。
【補足解説】バシャールが語る「分離のイリュージョン」
このラーが語る「忘却のヴェール」の概念は、バシャールの教えの中心的なテーマである**「分離のイリュージョン」**と完全に一致します。
バシャールも、私たちが本来「すべてはひとつ」である完全な存在であることを一時的に忘れ、「分離」という幻想をリアルに体験するために、この物質世界にいるのだと語ります。
このイリュージョンこそが、私たちが自己を発見し、他者との関係性の中で愛を学び、そして最終的に自らが創造主であることを思い出すための、完璧に設計された舞台装置なのです。
私たちが感じる孤独や欠乏感は、私たちが本来の姿ではないことを知らせるサインであり、それこそが私たちを真の自己への探求へと駆り立てる原動力となります。
ヴェールの影響:触媒と両極化の加速(SESSION 65, 66, 71)
「忘却のヴェール」は、第三密度の経験の質を根本から変えました。
それは、私たちの霊的成長を促す「触媒」の働きを劇的に高め、魂の両極化を加速させる強力なエンジンとなったのです。
触媒の役割の変化
「忘却のヴェール」後の世界では、病気、肉体的な痛み、人間関係の不和、そして死の恐怖といった**「触媒(カタリスト)」**が、以前とは比べ物にならないほど強烈に、そして直接的に私たちの意識に作用するようになりました。
ヴェール以前の世界では、魂はそれらの出来事が、大いなる自己の学びのための一時的な幻想であることを知っていました。
痛みや喪失はあっても、それは映画の登場人物が経験する悲しみのようなもので、物語が終われば俳優自身は傷つかないことを知っているのに似ています。
そのため、経験はどこか表層的で、魂の奥深くまで突き刺さるような、切実な学びには繋がりにくかったのです。
しかし、ヴェールによってすべてを忘れた私たちは、これらの触媒を**避けがたい「現実」**として真剣に受け止めざるを得ません。
愛する人との別れは、魂の永遠の繋がりを忘れた私たちにとって、耐え難い喪失感をもたらします。
不治の病の宣告は、肉体の死が自己の終焉であるという幻想の中で、絶望的な恐怖を生み出します。
この強烈な体験こそが、ヴェールの真の目的でした。
それは、私たちに「なぜこのようなことが起こるのか?」「人生の意味とは何か?」「この苦しみの先に何があるのか?」という、魂の根源的な問いを、心の底から真剣に投げかけさせます。
この問いこそが、私たちを自己の内面を探求する旅へと駆り立て、表面的な優しさではない、真の愛や許し、そして叡智を学ぶための絶好の機会となるのです。
両極化の加速
ヴェールによって生み出されたこれらの困難な状況は、エンティティに「他者へ奉仕するか」「自己へ奉仕するか」という、魂の方向性を決定づける明確な選択を迫ります。
そして、この強烈な触媒の中で下された選択は、私たちの意識をポジティブかネガティブのどちらかの極性へと強く引き寄せ、霊的両極化を劇的に加速させます。
この両極化こそが、第三密度を卒業(収穫)するための必須条件なのです。
なぜなら、第四密度以降の学びは、この第三密度で確立された明確な極性を土台として行われるからです。
他者への奉仕の道を選んだ魂は、愛と理解の第四密度へ。
自己への奉仕の道を選んだ魂は、支配と分離の第四密度へと、それぞれの学びの道を進んでいきます。
第三密度は、その後の長大な魂の旅路の方向性を決定づける、宇宙で最も重要な岐路なのです。
【補足解説】リサ・ロイヤル氏が語る「銀河の歴史と感情」
チャネラーであるリサ・ロイヤル氏は、彼女が交信する高次元存在からの情報として、地球人類がこの銀河宇宙における様々な文明の感情的なカルマを引き受け、それを統合するという特殊な役割を担っていると語ります。
私たちのDNAには、琴座、ベガ、シリウス、オリオン、プレアデスといった、対立と調和を繰り返してきた数々の星々の記憶が刻まれているというのです。
ラーが語る地球の「困難な収穫」や「強烈な触媒」の背景には、このような銀河レベルでの壮大な感情的な癒しのプロセスが関係しているのかもしれません。
私たちが日々経験する葛藤や対立は、個人的なものであると同時に、人類、そして銀河全体の意識が、分離から統合へと向かうための大いなる変容のプロセスの一部であると捉えることができるでしょう。
中編のまとめ
私たちが経験する困難や忘却は、決して罰や無意味なものではありません。
それは、私たちの魂の成長を最大限に加速させるために、ロゴスによって精妙に設計された、壮大な舞台装置なのです。
この「忘却」という名の舞台の上で、私たちは日々の触媒と向き合い、自らの意志で光への道、あるいは闇への道を選択していきます。
しかし、この選択のプロセスは、一体どのような「心の設計図」に基づいて行われているのでしょうか?
私たちの意識の奥深くには、このロゴスが用意した、経験を形作るための青写真が存在する、とラーは語ります。
後編では、いよいよこの深遠なる**「元型の心」**の世界へと足を踏み入れます。
タロットカードとして象徴されるこの意識の設計図は、私たちがどのようにして現実を経験し、変容していくのかを解き明かす鍵です。
そして、この元型を理解し、使いこなすことが、どのようにして「魔法」と呼ばれる意識の力を解放し、自らの進化を意識的に加速させることに繋がるのか、その具体的なメカニズムに迫ります。
旅は、さらに深い領域へと続いていきます。

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現在第3巻までは日本語訳で出版されています。