1981年、ドン・エルキンズ、カーラ・ルカート、ジム・マッカーティの3人によるグループは、驚くべきコンタクトを果たしました。
彼らは自らを「ラー」と名乗る、高度に進化した意識集合体(社会記憶複合体)との交信に成功したのです。
その交信記録は「ラー文書(The Ra Material)」としてまとめられ、「一なるものの法則(The Law of One)」という深遠な宇宙哲学と共に、世界中のスピリチュアルな探求者たちに大きな影響を与え続けています。
この記事では、その「ラー文書」第一巻の内容を紐解いていきます。
本記事(前編)では、まずラーと研究グループとの運命的な接触の始まりと、ラーと名乗る存在が一体何者なのかを探ります。
そして、彼らが語り始めた宇宙の成り立ち、「一なるものの法則」とは何か、意識進化の階梯である「密度」といった、壮大な宇宙観の基礎に触れていきます。
ドン・エルキンズ、カーラ・ルカート、ジム・マッカーティ:探求者たちの軌跡
「ラー文書」がこの世界にもたらされることになった背景には、ドン・エルキンズ、カーラ・ルカート、ジム・マッカーティという3人の真摯な探求者たちの存在がありました。
物理学教授であったドン・エルキンズは、長年にわたりUFO現象や超常現象を科学的視点から研究していました。
彼はその過程で、これらの現象の背後にある、より深遠な精神的・哲学的意味を探求する必要性を感じていました。
図書館司書であり、敬虔なキリスト教神秘主義の実践者でもあったカーラ・ルカートは、深い瞑想状態に入る能力を持っていました 。
彼女のこの能力が、後にラーとの交信における「道具(instrument)」としての役割を果たすことになります。
そして、若き日のジム・マッカーティは、自己探求の道を歩む中でエルキンズとカーラに出会い、彼らの研究と思索に加わりました。
彼らはL/Lリサーチ(Love/Light Research)というグループを結成し、宇宙の真理を探求するためのチャネリング実験を開始したのです 。
L/Lリサーチ設立の背景と目的
彼らの主な目的は、ドン・エルキンズが20年以上にわたるUFO研究で集めたデータと、チャネリングによって得られる形而上学的な情報を統合し、宇宙と生命の真実を明らかにすることでした。
彼らは、物理的な現象と精神的な探求は、コインの裏表のように繋がっていると考えていたのです。
チャネリング実験の経緯とラーとの接触に至るまで

L/Lリサーチは、カーラをチャネル(媒体)として、様々な存在との交信を試みました。
初期の交信では、後に「社会記憶複合体」と呼ばれる集合意識体など、多様な情報源からのメッセージを受け取りましたが、情報の質や一貫性には課題もありました。
彼らはより純粋で信頼できる情報源を求め、交信前の準備や儀式を改善し、祈りや瞑想によって自らの波動を高める努力を続けました。
そして1981年1月15日、彼らの真摯な探求に応えるかのように、カーラを通じて非常にクリアでパワフルな意識体が応答してきたのです。
それが「ラー」と名乗る存在との、歴史的な最初のコンタクトでした。
「我々はラー」:宇宙的知性との邂逅
最初の接触:予期せぬ訪問者
最初のセッションは、これまでの交信とは明らかに異なる雰囲気を持っていました。
カーラの声は変容し、力強く、非個人的な響きを帯びていました。
その存在は「我々はラーである」と名乗り、彼らの探求に対する応答として現れたことを告げました。
ラーとは何者か?:「社会記憶複合体」という概念

ラーは自らを個別の存在ではなく、「社会記憶複合体(Social Memory Complex)」であると説明しました 。
これは、一つの惑星上の全存在が進化の過程で個々の意識を保ちつつも、グループとしての集合意識・集合記憶を獲得した状態を指します。
アシュタールが語る「ワンネス」の概念にも通じますが、ラーの説明はより具体的です。
絶対無限の存在(創造主)から分かれた個性のエネルギーが、経験を通じて再び統合され、より大きな意識体へと進化していくプロセスの一つと言えるでしょう 。
彼らは地球の時間で約26億年前に金星でこの段階に達し、現在は第六密度の存在であると述べています。
交信の目的:なぜ地球人類にコンタクトするのか?
ラーがL/Lリサーチの呼びかけに応じた理由は、地球が現在、約7万5千年周期の進化サイクルの終焉を迎え、惑星全体のアセンション(次元上昇)の時期、ラーの言葉でいう「収穫(Harvest)」の時期に近づいているためでした。
彼らは、地球の人々がこの移行期において「一なるものの法則」を理解し、自らの意志で霊的進化の道を選択するための情報を提供することを目的としていました。
ただし、彼らは宇宙の法則である「自由意志の尊重」を厳格に守り、直接的な介入ではなく、あくまで求めに応じて情報を提供するというスタンスを貫いています。
宇宙の構造:ラーが明かす創造の設計図
「一なるものの法則」とは:全ての存在は「一(いち)」であるという根源的真理
ラーが伝える教えの中心は「一なるものの法則(The Law of One)」です。
これは、無限の創造主から始まった全ての存在、全ての物質、全ての意識は、根源において「ひとつ」であるという真理を指します。
多様に見える宇宙の万物は、創造主が自らを経験するために顕現させた無限の現れであり、本質的な繋がりを持っています。
バシャールが言う「オール・ザット・イズ(すべてであるもの)」や、アシュタールの「絶対無限の存在」と同様の概念と捉えることができるでしょう。
この法則を理解することが、宇宙と自己を理解する鍵となります。
オクターブと「密度」:意識進化の階梯(第一~第三密度を中心に)

ラーによれば、宇宙はオクターブ(8つの音階)のような構造を持ち、それぞれのオクターブの中には、意識が進化していくための7つの主要な「密度(Density)」と呼ばれる段階(あるいは存在次元)があるとされます。
これは単なる物理的な場所ではなく、意識の学びと経験の質、存在状態そのものを表すものです。
アシュタールの言う「波動周波数」の違いや、エイブラハムの「感情のスケール」にも似ていますが、ラーの「密度」はより明確な進化の段階を示します。
- 第一密度:
存在の始まり。火、水、風、土といった元素の領域。覚醒や自己認識以前の「存在すること」自体の学び。 - 第二密度:
成長と移動の始まり。鉱物界の下位から植物、動物界へ。自己認識の萌芽。地球では約46億年間続きました。 - 第三密度:
「選択」の密度。自己意識、自己認識が発達し、「他者への奉仕」か「自己への奉仕」か、霊的な方向性を選択する段階。
現在の地球人類はこの密度にいて、このサイクルの長さは約7万5千年です。
これ以降、第四密度(愛/理解の密度)、第五密度(光/叡智の密度)、第六密度(一なるものとの統合の密度)、そしてそのオクターブにおける学びの集大成である第七密度(永遠性の密度)へと進化は続きます。
では、「第八密度」とは何でしょうか?
ラーの説明では、これは第一から第七のような具体的な「経験の密度」ではなく、第七密度の学びを完了した意識が、オクターブ全体を完成させ、次のオクターブ(より高次の創造主の現れ)へと移行する、あるいは根源である創造主へと回帰する転換点を指す比喩的な表現と捉えられます。
音楽のオクターブ(ドレミファソラシ)で言えば、7つの音階を経て到達する一段高い「ド」の音のようなものです。
この音は前のオクターブの完成を示すと同時に、次のオクターブの始まりでもあります。
このように理解することで、「7つの密度」と「第八密度でのオクターブ完成」という二つの表現は矛盾なく受け取ることができるでしょう。
自由意志の法則:宇宙における絶対的な原則
「一なるものの法則」において最も重要な法則の一つが「自由意志の法則(The Law of Free Will)」です。
これは、いかなる存在の自由意志も侵害してはならない、という宇宙の根本原則です。
創造主は、自らが多様な経験をするために、無限の自由をその分身である私たちに与えました。
たとえ他者の選択が「誤っている」ように見えても、その選択を尊重することが求められます。
ラーや惑星連合が地球に直接介入しないのも、この法則に基づいています。
エイブラハムの教えで言う「許可すること(Allowing)」にも通じ、他者の選択や現実をコントロールしようとせず、まず自分自身の波動(思考や感情)を整えることが重要である、という視点とも重なります。
ワンダラー(放浪者):地球へ転生した高次元存在

ラーは「ワンダラー(Wanderer)」または「放浪者」と呼ばれる存在についても言及しています。
彼らは、より高次の密度(主に第六密度)から、現在の地球が経験しているアセンション(次元上昇)のプロセスを助けるという「奉仕」を目的として、自ら志願してこの第三密度の地球に転生してきた魂たちです。
この「ワンダラー」という概念は、現代のスピリチュアルな探求において語られる「ライトワーカー」や「スターシード」、「インディゴチルドレン」、「クリスタルチルドレン」、「レインボーチルドレン」といった存在たちと共通する側面を持っています。
いずれの概念も、地球や人類全体の意識進化(アセンション)をサポートするために、より高い意識状態や純粋な愛を持ってこの時代、この地球に転生してきた魂たちを指す点で似ています。
彼らはしばしば、既存の社会システムや価値観に馴染めない感覚や、強い使命感を抱いていると言われます。
そして、その純粋な存在自体が、周囲や惑星全体の波動を高める触媒としての役割を担っていると考えられます。
ただし、「ワンダラー」はラー文書における特有の概念であり、他の概念とは異なるいくつかの重要な特徴があります。
特に強調されるのは、彼らが「高次の密度から自ら志願して、より困難な第三密度へと降りてきた」という点、そして、その際に本来の記憶や能力の多くを忘れてしまう「忘却のベール」という大きなリスクを負っている点です。
この忘却のために、ワンダラーたちはしばしば深い孤独感や疎外感を感じたり、自分が何者で何のためにここに来たのかを見失いがちになったりするとラーは指摘します。
しかし、彼らの本質は愛と光であり、眠りから目覚め、本来の目的を思い出すことで、地球の人々に対して大きなポジティブな影響を与え、惑星全体の波動を高める力となります。
ラー自身も、かつて地球の文明を助けるために訪れたワンダラーの一員であった、と述べています。
初期セッションからの洞察:歪みと奉仕
創造主の光と歪み(ディストーション)

ラーによれば、創造主の本質は無限の愛と光ですが、自由意志によって創造主から離れる選択がなされる時、「歪み(Distortion)」が生じます。
これは「罪」や「悪」といった断罪的な概念ではなく、単に「一なるもの」からのズレや不調和を指します。
エイブラハムの教えにおける、ソースエネルギーの流れに対する「抵抗(Resistance)」という概念と非常に似ています。
私たちがネガティブな感情を感じる時、それは本来の自己(ソース)との波動のズレ、すなわち「歪み」や「抵抗」が生じているサインと捉えることができます。
奉仕の道:他者への奉仕 vs 自己への奉仕
第三密度の地球における主要な学びは「選択」であり、その最も重要な選択が「奉仕の道」です。
ラーは二つの基本的な方向性を示します。
- 他者への奉仕(Service to Others):
「一なるものの法則」を理解し、他者を自分自身として愛し、助け、奉仕することを選ぶ道。ポジティブな極性。 - 自己への奉仕(Service to Self):
他者を分離した存在とみなし、自己の利益や支配のために他者をコントロールしようとする道。ネガティブな極性。
どちらの道も、自由意志による選択として尊重されます。
しかし、第四密度以降へポジティブに進化するためには、他者への奉仕の道を歩むことが必要とされます。
これは、他者を助けることが結局は自分自身を助けることになる、という「一なるもの」の法則に基づいています。
まとめ:接触がもたらした宇宙観
今回の前編では、「ラー文書」の冒頭部分、L/Lリサーチという探求者グループが「ラー」と名乗る高次の社会記憶複合体と接触するに至った経緯、そしてラーが最初に明かした宇宙の根源的な法則と構造について触れてきました。
「すべてはひとつ」であるという「一なるものの法則」、意識の進化段階である「密度」、宇宙の絶対原則「自由意志」、そして地球を助けるために転生した「ワンダラー」。
これらの概念は、私たちが普段認識している世界観を大きく揺さぶり、より広大で深遠な宇宙の実相へと意識を開くきっかけを与えてくれます。
ラーとの対話は、私たちがどこから来て、何者であり、どこへ向かっているのか、という根源的な問いに対する、壮大な視点からのヒントを示唆しているのかもしれません。
後編では、さらに踏み込み、ラーが語る地球の失われた歴史、特にアトランティスやエジプトといった古代文明の真実、そして「惑星連合」や「オリオン・グループ」といった地球外文明との関わり、人類の霊的進化とアセンション(収穫)といった、さらに興味深いテーマを探求し、まとめていきます。
