【前編】では、私たちの意識が「分離」の3次元から「統合」の4次元へと向かう、壮大な変化の時代にいることを探求しました。
そして、その変容の波に乗るためには、内なる闇を受け入れ、心と体を新しい周波数へと整えていく準備が必要であることを学びました。
では、その新しい意識のあり方を、私たちの日常生活、つまり「豊かさ」「人間関係」「人生の目的」といった具体的なテーマの中で、どのように実践していけば良いのでしょうか?
この【後編】では、いよいよ『ミレニアム』が示す実践的なツールを深く掘り下げていきます。
これは、あなたが新しい現実の「意識的な創造主」として、真の自分を生きるための、具体的でパワフルな変容のステップです。


本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。
真の豊かさを創造する:制限の信念が作る「空間」の法則
【前編】では、私たちが意識の変容期にいること、そしてそのための心と体の準備について学びました。
では、その新しい意識を使って、私たちの人生で最も重要なテーマの一つである「豊かさ」をどのように創造していけばよいのでしょうか。
『ミレニアム』は、豊かさとは単にお金を持つことではなく、あなたの意識状態と深く関連していると説きます。
あなたの豊かさの量は、あなたが無意識に自分自身に許している「空間」の大きさに比例するのです。
この「空間」とは、あなたの信念によって作られるエネルギー的な器のようなものです。
もしあなたが心の奥底で「自分には価値がない」「自分は愛されるに値しない」「自分には能力がない」といった制限的な信念を持っていると、この空間は縮こまり、豊かさ(愛、喜び、お金、機会)が入ってくるのを妨げてしまいます。
まるで、素晴らしい贈り物がすぐそこまで来ているのに、受け取るためのドアを固く閉ざし、常に何かと格闘しているような感覚に陥るのです。
逆に、この空間を広げる、つまり制限的な信念を手放し、自分に価値があることを認めれば、宇宙の無限の豊かさのエネルギーが自然とあなたの元へ流れ込んでくるのです。
豊かさの器を広げる瞑想
本書では、私たちの内なる豊かさの「器」、すなわち「空間」を意識的に広げるための、非常にパワフルな瞑想が紹介されています。
これは、単なるイメージトレーニングではありません。
私たちの普段の意識ではアクセスしにくい「無意識」の領域に、象徴や元型(アーキタイプ)という宇宙共通の言語を用いて直接働きかけ、内側から変容を促すための神聖なワークです。

- まず、誰にも邪魔されない静かな場所でリラックスし、深く呼吸を繰り返します。
そして、あなたの目の前に、最初はがらんとした、壁が真っ白に塗られた大きな部屋をイメージしてください。
開いた窓からは、心地よい、暖かいそよ風が吹き込んでいます。
家具は何もなく、少し殺風景に感じるかもしれませんが、そこは誰にも侵されない、あなただけの安全な空間です。
この白い部屋は、あなたの無限の可能性が描かれる前の、まっさらなキャンバスなのです。 - 次に、その部屋が、キラキラと輝く「緑色のエネルギー」で満たされていくのを想像してください。
本書ではこれを「緑色の電磁的な可能性のエネルギー(Green Electromagnetic Energy of Potential, GEEP)」と呼んでいます。
なぜ緑色なのでしょうか?
緑は、私たちの胸の中心にあるハートチャクラの色であり、繁栄、創造、そして生命力そのものを象徴する癒しのエネルギーだからです。
それは、春に一斉に芽吹く若葉の色であり、自然界の無限の豊かさの色でもあります。
このGEEPは、宇宙に遍在する創造の源となるエネルギーであり、誰にでも平等に、そして無限に与えられている、あなたの生まれ持った権利なのです 。 - 部屋がこの創造のエネルギーで満たされたら、そのGEEPの力を使って、部屋の壁をどんどん外側へ、あなたの望む限り押し広げていくのを想像してください。
ここで重要なのは、力ずくで広げようとするのではなく、あなたが「許可」することで、GEEPが自然に空間を広げていくのに任せることです。
この時、壁を広げることに抵抗を感じるか、それとも何の抵抗もなくスムーズに広げられるか、自分自身の感覚に注意を向けてみましょう。
もし「これ以上は無理だ」「自分には広すぎる」といった抵抗を感じるなら、それがあなたの内なる豊かさへのブロック、つまり「自分は受け取るに値しない」といった無意識の制限的な信念を教えてくれる貴重なバロメーターなのです。 - あなたが「今はこれで十分だ」と直感的に感じるまで、この空間を広げ、豊かな緑の光で満たし続けてください。
そして、広がったその空間が、再び縮んでしまわないように、常に新鮮なGEEPで満たされている状態を保ちます。
決して stagnant(停滞)させてはいけません。
このワークを日常的に、例えば朝起きた時や夜寝る前、あるいは請求書の支払いをするときなどに行うことで、あなたの現実は大きく変わり始めます。
請求書にサインする時、この緑のエネルギーがあなたの腕を伝い、ペン先から小切手や振込用紙に流れ込んでいくのを想像してみてください。
これは「お金が減る」という欠乏の行為ではなく、あなたの豊かさのエネルギーを宇宙に循環させる「創造の行為」なのだと意図するのです。
感謝と共に手放したエネルギーは、あなたの署名入りの振動を持ち、やがて何倍にもなってあなたの元へと還ってくるでしょう 。

バシャールとの共鳴:「観念」が豊かさの蛇口をひねる
この「空間」の法則は、バシャールの教えの中核である「観念が現実を創造する」という法則と見事に一致します。
バシャールは、「お金は豊かさを表現する数ある手段の一つに過ぎず、必ずしも最も効率的な手段ではない」と語ります。
真の豊かさとは、お金そのものではなく、「必要な時に、必要なことができる能力」のことです。
私たちが「豊かさ=お金」という狭い観念(信念体系)を持っていると、宇宙が別の形で与えようとしている豊かさ(スキル、人との出会い、創造的なアイデアなど)を見逃してしまいます。
私たちの内なる信念(観念)こそが、宇宙の無限の豊かさという水道の蛇口を、固く閉ざしたり、大きく開いたりする唯一の鍵なのです。
経済的な自立と「スピリチュアルな主権」
豊かさの探求は、さらに深いテーマへと繋がります。
それが「依存」からの脱却と「スピリチュアルな主権」の確立です。
現代社会の多くは、もはや金(ゴールド)に裏付けられていない紙幣や電子データといった「架空の富」の上に成り立っています。
私たちは、その価値が常に変動するシステムに依存することで、自分自身の真の価値を見失いがちです。
本書は、土地、貴金属、あるいは自分自身のスキルといった、「本当の価値」を持つものに意識を向けることを推奨しています。
他者が決めた価値基準に依存するのではなく、自分自身で価値を創造し、自立していくこと。
このプロセスを通じて、私たちは「誰かに頼らなくても、自分は大丈夫だ」という深いレベルでの自己信頼、すなわち「魂の主権」を取り戻していくのです。
3次元から4次元へ:愛と信頼を育む新しい人間関係
意識のシフトが最も顕著に現れる領域の一つが、人間関係です。
あなたが今、パートナーや家族、友人との関係で大きな挑戦に直面しているとしたら、それはまさに、古い関係性のあり方が新しい時代のエネルギーに合わなくなっている証拠なのです。
3次元的関係性の特徴:分離のゲーム
これまでの3次元的な関係性は、「分離」の幻想を基盤としていました。その特徴は以下の通りです。
- 秘密主義:
自分の本心や情報を隠すことで、相手をコントロールし、自分を守ろうとします。 - 恐怖に基づく一対一の関係:
相手を独占することで、見捨てられることへの恐れから逃れようとする、成長のない安全地帯を作ろうとします。 - 条件付きの愛:
「もしあなたが〇〇してくれたら、愛してあげる」という取引に基づいた愛です。それは常に過去の記憶や未来への期待に縛られています。 - 期待とコントロール:
相手が自分の期待通りに振る舞うことを要求し、関係性を自分の思い通りにしようとします。
これらのゲームは、短期的には安心感を与えてくれるかもしれませんが、長期的には魂の成長を妨げ、不満と苦しみを生み出します。
4次元的関係性の原則:統合への道

一方、私たちがこれから築いていく4次元的な関係性は、「統合」を基盤とします。
- 絶対的な正直さ:
たとえ気まずくても、自分の真実を「心から」語ること。
そして、相手の真実を、防御的にならずに受け止めること。
ただし、相手をコントロールするための「正直さ」は、偽りです。 - 無条件の愛:
相手をコントロールしようとせず、ありのままの存在を愛すること。
しかし、それは自己犠牲とは違います。
自分自身を同じように愛し、たとえ虐待的な状況であれば、愛を持ってそこから去るという、自分の境界線(バウンダリー)を尊重することも含まれます。 - 絶対的な信頼と許し:
相手をコントロールする必要性を手放し、起こる出来事のすべてに意味があると信頼することです。 - 選択による関係性:
恐れからではなく、意識的な「選択」によって関係性を築くこと。
自分が望む関係の形(例えば一対一の関係)を、まず自分自身が選択し、その上で相手の選択がそれと両立するかどうかを見極めるのです。
この移行は、まるで壁に塗り込められたレンガを一つ一つ取り除いていくような、勇気と忍耐を要する作業かもしれません。
しかし、その壁が崩れた時、私たちは初めて、真の光の中で相手と出会い、魂レベルでの深い繋がりを感じることができるのです。
バシャールとの共鳴:関係性は「自分を映す鏡」
この4次元的な人間関係のあり方は、バシャールの「人間関係は自分自身を映し出す鏡である」という教えと深く響き合います。
バシャールによれば、私たちが他者との関係で体験することは、すべて自分自身の内面(観念や感情)が反映されたものに他なりません。
もし、あなたがパートナーに「正直であってほしい」と願うなら、まず自分自身が100%正直である必要があります。
もしあなたが「無条件に愛されたい」と望むなら、まず自分自身を無条件に愛さなければなりません。
4次元的な関係性の原則、つまり「正直さ」や「無条件の愛」は、この「内なる鏡」を磨き、曇りのない真実の自分を映し出すための、最も効果的な実践方法なのです。
「聖なる結婚」:内なる男性性と女性性の統合

人間関係の探求は、やがて究極のテーマへと私たちを導きます。
それが、すべての人の内側に存在する「男性性エネルギー」と「女性性エネルギー」を統合する、「聖なる結婚(Sacred Marriage)」です。
これは単に男女が結ばれることだけを意味するのではありません。
自分自身の内なる男性性と女性性が調和し、統合されることで、私たちは初めて完全な一人の人間として、真のパートナーシップを築くことができるようになるのです。
チャクラに宿る男性性と女性性のエネルギー
私たちのエネルギーセンターであるチャクラには、それぞれ男性性(外向的・行動的)と女性性(内向的・受容的)の性質があります。
- 男性性エネルギーが優位なチャクラ:
第3チャクラ(太陽神経叢:行動・顕現)、第5チャクラ(喉:コミュニケーション)。 - 女性性エネルギーが優位なチャクラ:
第2チャクラ(仙骨:感情・セクシュアリティ)、第6チャクラ(第三の目:直感・受容)。 - 両方のエネルギーを持つチャクラ:
第1(基底)、第4(ハート)、第7(クラウン)の各チャクラは、両方のエネルギーを持ち、私たちが共通の基盤を見出す場所です。
一般的に、男性は行動(第3チャクラ)や論理的な会話(第5チャクラ)を通じて愛を表現しようとし、女性は感情的な共感(第2チャクラ)や直感的な繋がり(第6チャクラ)を通じて愛を受け取ろうとします。
このエネルギーの流れの違いが、男女間のすれ違いの根源的な原因となっているのです。
男女のすれ違いの根源を理解する

女性的なエネルギーが強い人は、感情が動いたときに「話す」ことで自分の気持ちを整理し、共感されることを求めます。
彼女たちは「解決策」を求めているのではなく、ただ聞いてもらい、感情を「認めて」ほしいのです。
一方、男性的なエネルギーが強い人は、感情を処理するために一人になる「空間」や「沈黙」を必要とすることが多いのです。
この違いを知らずに、女性側が男性に「どうして話してくれないの?」と詰め寄ったり、男性側が女性に「とにかく結論を言ってくれ」と急かしたりすると、お互いのニーズが満たされず、関係はこじれてしまいます。
相手のエネルギーの性質を理解し、尊重すること。
それが、内なる「聖なる結婚」への第一歩です。
人生の障害を乗り越え、魂の目的を生きる
4次元的な意識で生き始めると、人生で起こる出来事の捉え方も大きく変わってきます。
そこにはもはや、「ランダムな不運」や「乗り越えられない障害」は存在しません。
「障害」の本当の意味:岩は成長の糧
人生の道筋に現れる困難や挑戦は、廊下に置かれた大きな岩のようなものです。
4次元的な意識では、「なぜこんな邪魔なものが!」と怒り、それを置いた誰かを責めるかもしれません。
しかし4次元的な視点では、その岩は、あなた自身が魂の成長のために、そこに置いたのだと理解します。
それは、あなたがより高くジャンプするための「踏み台」であり、新しい力を発見するための「挑戦状」なのです。
障害を「罰」や「失敗」と捉えるか、「成長の糧」と捉えるか。
その認識の違いが、あなたの体験する現実を決定します。

カルマの真実:叡智は因果を超える
「カルマ」という言葉は、しばしば「罰」や「宿命」といったネガティブな意味で誤解されてきました。
しかし、本書が説くカルマの真実は、もっとシンプルでパワフルです。
カルマとは、単なる「原因と結果の法則」です。
しかし、人間には「意識」と「叡智」があります。
ゴムを伸ばして手を離せば(原因)、ゴムは勢いよく返ってきて痛い(結果)。
しかし、伸ばしたゴムを「ゆっくりと」戻すという叡智を使えば(意識的な選択)、痛みという結果は生まれません。
過去の行動によって作られたパターン(カルマ)は存在します。
しかし、私たちが「今、ここ」で愛と叡智に基づいた選択をすることで、そのパターンを乗り越え、無意識な因果の連鎖から自由になることができるのです。
バシャールとの共鳴:「ワクワク」に従う生き方
では、どうすれば愛と叡智に基づいた選択ができるのでしょうか?
その答えとして、『ミレニアム』は「責任をもって、自分のワクワク(Excitement)に従うこと」を提唱しています。
これは、バシャールの最も有名な公式「能力の限り、最も情熱(ワクワク)を感じることを、結果への執着なしに行動しなさい」という教えと、寸分違わず一致します。
「ワクワク」とは、単なる一時的な興奮ではありません。
それは、あなたの魂(ハイヤーマインド)が「そちらがあなたの真実の道ですよ」と送ってくれている、言語を超えたエネルギー的なサインなのです。
この羅針盤に従って生きるとき、宇宙は完璧なシンクロニシティであなたをサポートし始め、人生の障害はもはや障害ではなく、エキサイティングな冒険の一部となるのです。
【後編まとめ】あなたの手で、新しい世界を創造する
リサ・ロイヤル・ホルト氏の『ミレニアム』が示す道は、決して平坦なものではないかもしれません。
それは、自分自身の内面を深く見つめ、時に痛みを伴うほどの正直さと向き合い、古い自分を手放していく勇気を要する旅です。
しかし、その先にあるのは、私たちが今まで想像もしなかったほどの、自由で、愛と喜びに満ちた世界です。
- 真の豊かさは、あなたの内なる「許可」から生まれます。
- 愛ある人間関係は、恐れを手放し、絶対的な「正直さ」と「信頼」を育むことから始まります。
- 魂の完全性は、内なる「男性性」と「女性性」が手を取り合う「聖なる結婚」によって達成されます。
- そして、人生の究極の羅針盤は、あなたの魂が発する「ワクワク」という純粋な喜びの感覚なのです。
これらのツールは、もはやあなたの中にあります。
あとは、それらを使って、あなた自身の、そして私たちの新しい世界を、あなたの手で創造していくだけです。
本書の最後にあるように、私たちは皆、繭から出て新しい世界に戸惑う美しい蝶のようなものです。
