ラー文書 第四巻 要約と解説(中編):精神の元型〜タロットカードが示す意識の建築様式

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 前編では、私たちの経験の土台である「忘却のヴェール」と「両極性」が、ロゴス(宇宙の設計者)による壮大な計画の一部であったことを探求しました。
 この中編では、いよいよ私たちの意識の深層にある、その計画の具体的な設計図**「元型の心」**へと分け入っていきます。

 私たちの思考や感情、そして繰り返される人生のパターンは、一体どこから来るのでしょうか?

  ラーは、タロットカードとして象徴される22の元型を通して、その謎を解き明かす鍵を示します。
 これは、単なる占いの道具ではなく、自己の内なる宇宙を探求し、自らの進化を意識的に加速させるための、深遠なる地図なのです。

 この記事では、私たちの「精神(マインド)」を司る7つの元型を一つずつ丁寧に解説し、それらが私たちの意識の働きといかに深く結びついているのかを探ります。
 この青写真を理解することで、私たちは日々の経験を、魂の成長の糧へと変える、大いなる力を手にすることができるはずです。

目次

1. 元型の心とは何か?(SESSION 76, 77, 90, 91)

 「元型の心」という概念は、ラーの教えの中でも特に深遠なものの一つです。
 それを理解するために、まずはその全体像を掴むことから始めましょう。

 ラーによれば、元型の心とは、私たちのロゴスが独自に用意した、**経験を通じて進化するための青写真、あるいは「建築様式」**です(SESSION 93)。
 それは、私たちの意識の最も深い層(深層意識)に存在し、私たちがどのように思考し、感じ、経験を処理するかの基本的なパターンを規定しています。

 これは、家の設計図が部屋の配置や構造を決定づけるように、私たちの意識の「間取り」を定めていますが、その中でどのような家具を置き、どのような人生を営むかは、私たち一人ひとりの自由意志に委ねられています。
 この青写真は、「忘却のヴェール」の向こう側で、私たちの意識的な選択や反応に絶えず影響を与えています。

 私たちが特定の状況に特定の感情を抱いたり、人生で同じようなパターンを繰り返したりする背景には、この元型の心が共鳴しているのです。

 ラーは、かつてエジプトの神官たちに、この元型の心を学ぶためのツールとして、**タロット(大アルカナ)**の原型となるイメージを授けたと語ります(SESSION 76)。
 タロットの真の目的は、未来を占うことではなく、これらの普遍的なイメージを通して自己の内なる宇宙を探求し、自らの進化の地図を理解することにあるのです。

 なぜイメージなのでしょうか?
  それは、イメージやシンボルが、言葉を超えた無意識の言語だからです。
 言葉は論理的な思考に働きかけますが、元型のような深遠な概念は、象徴的なイメージを通して直感に直接語りかけることで、より深く、多層的に理解することができます。
 
 タロットカードは、意識の深層へと降りていくための、いわば精神的な潜水用具なのです。

補足:ここで語られるタロットカードについて

 読者の皆様の中には、タロットと聞いて、現在最も広く知られている「ライダー・ウェイト・スミス版」のカードを思い浮かべる方が多いかもしれません。
 しかし、ラーがこの対話で言及しているのは、それとは異なる系統の「エジプトのタロット(ブラザーフッド・オブ・ライト・エジプシャン・タロット)」です。
 具体的には、質問者ドン・エルキンズがセッションで使用していたのは、C.C.ザインという人物が設立した「光の教会(Church of Light)」によって出版されたデッキです。
 ラー自身も、このエジプト系統のタロットが、ラーが最初に意図した元型の「心の建築様式」を最も歪みなく伝えていると述べています。

 ライダー版が中世ヨーロッパ風の絵柄であるのに対し、エジプトのタロットは、その名の通りエジプトの神々やヒエログリフをモチーフにしています。
 この記事で解説する各元型の象徴(例えば「女教皇」の白と黒の柱など)は、この**「エジプトのタロット」**のイメージに基づいています。
 この点を念頭に置いて読み進めていただくと、ラーの解説がより深く、正確に理解できるかと思います。

 私たちの意識は、単一の層でできているわけではありません。
 ラーは、意識にはいくつかの階層があると示唆しています(SESSION 91)。

  1. 宇宙的な心(コズミック・マインド): すべてのロゴスに共通する、宇宙の根源的な意識。
  2. 元型の心(アーキタイプ・マインド): 私たちのロゴスが独自に設計した、この太陽系宇宙の進化の青写真。
  3. 惑星の心(プラネタリー・マインド)/人種の心(レイシャル・マインド): 地球という惑星、あるいは特定の人種が集合的に経験し、蓄積してきた記憶と信念の層。
  4. 個人の心: 上記のすべての影響を受けながら、個々の転生を通じて独自の経験を積み重ねていく、私たち一人ひとりの意識。

この構造を理解することで、私たちは自分の思考や感情が、個人的な経験だけでなく、より広大な意識の海と繋がっていることを認識できます。

2. 精神の元型(アーキタイプ・オブ・マインド)解説(SESSION 78, 79, 91, 92, 93, 94, 97, 99, 100, 103)

 それでは、私たちの「精神(マインド)」の働きを司る、最初の7つの元型を、タロットカードのイメージを参考にしながら見ていきましょう。

補足:タロットを自己探求に使うには?

 ラーが示すタロットの使い方は、一般的な「占い」とは目的も方法も異なります。
 それは未来を予測するためのものではなく、自己の内なる真実を発見するための、能動的で瞑想的な実践です。
 日常生活でこの深遠なツールを活用するための、ラーの教えに基づいた3ステップをご紹介します。

ステップ1:問いの設定とカードの選択
 まず、静かな時間を取り、「今日、私の魂が学ぼうとしていた最も重要なテーマは何ですか?」あるいは「(特定の出来事)という経験を通して、私の魂は何を学ぼうとしていますか?」といった問いを心に投げかけます。
 そして、直感で大アルカナから1枚だけカードを選びます。

ステップ2:カードとの対話(ジャーナリング)
 選んだカードをじっくりと眺め、そのイメージから感じる第一印象や感情、今日の出来事との関連性、そして「もしこれが私の高次の自己からのメッセージだとしたら、それは何か?」といった問いに対する答えを、思いつくままにノートに書き出します。

ステップ3:感謝と統合
 書き出しを終えたら、この気づきを与えてくれたカード(元型の心)と自分自身の内なる叡智に感謝を伝えます。そして、「この気づきを、これからの私の人生に統合します」と静かに宣言します。

 この実践を続けることで、あなたはタロットという無意識の言語を少しずつ理解できるようになり、日々の出来事がすべて魂の成長のために用意された、意味深いレッスンであることに気づき始めるでしょう。

 これは、行動を起こす前の純粋な意識、すなわち「気づき」そのものを象徴します。

 ラーによれば、意識はそれ自体では動かず、すべての活動が生まれるための「母胎」です(SESSION 78)。
 魔術師の姿は、この意識が持つ無限の可能性と、現実を創造するための「意志」の力を表しています。

 新生児の意識を想像してみてください。
 そこにはまだ経験による偏見や条件付けがなく、ただ純粋な「存在する」という気づきだけがあります。
 これが精神の母胎です。
 それは、あらゆる思考や感情が生まれる前の、静かで広大なキャンバスのようなものです。

 カードに描かれた人物が天を指し、地を指しているのは、意識が「上なるもの(霊的世界)」と「下なるもの(物質世界)」を結びつける架け橋であることを示唆しています。
 彼の手にした杖は、この純粋な意識が「意志」という方向性を与えられることで、初めて創造の力となることを象徴しています。

 しかし、この段階の意識はまだ可能性の段階にあり、ケージの中の鳥が象徴するように、無意識(ポテンシエーター)の力を解放しなければ、幻想の世界に囚われたままです。

 これは、広大な無意識の海であり、すべての可能性の源泉を象徴します。
 ラーはこれを「意識がディップするための海」と表現しました(SESSION 79)。
 意識(魔術師)がこの無意識の海へと手を伸ばすことで、初めて創造、思考、そして自己認識が始まります。
 無意識は、私たちが忘れてしまった過去生の記憶、集合的な人種の記憶、そしてこの惑星自体の記憶、さらには宇宙の叡智そのものを含んでいます。
 それは、私たちの意識的な心が汲み上げることのできる、無限の知識と可能性の貯水池なのです。

 カードに描かれた女教皇が白と黒の柱の間に座っているのは、この無意識の領域が、ポジティブとネガティブ、両極性の可能性を秘めていることを示しています(SESSION 92)。
 彼女が持つ書物は、魂が転生前に設計した人生の青写真や、宇宙の叡智を象徴していますが、その一部はヴェールで覆われています。
 これは、私たちがこの深層の叡智にアクセスするためには、意識的な探求と、自らの内側へと深く潜っていく勇気が必要であることを示唆しています。

 これは、無意識から意識へと流れ込む経験や出来事、すなわち「触媒」そのものを象徴します。

  私たちが日々遭遇する、心を揺さぶる出来事、感情的な反応を引き起こす人々、それらすべてがこの元型の働きです(SESSION 78)。
 触媒は、私たちの意識的な心が、無意識の領域に蓄えられた情報や課題に気づくための、宇宙からの「呼びかけ」なのです。

 カードに描かれた女帝は、豊かで肥沃な自然の中に座しています。
 これは、触媒が本質的に豊穣であり、私たちの成長のための栄養に満ちていることを示しています。
 彼女が持つ杖と盾は、この触媒が時に厳しく、私たちの防御反応を引き出すこともあることを暗示しています。
 しかし、そのすべては、私たちの意識を成長させ、実りをもたらすための、宇宙からの贈り物なのです。

 例えば、突然の失業という触媒は、私たちに安定や自己価値について深く考えさせ、新たな才能を発見させる機会となり得ます。

 これは、入ってきた触媒を処理し、学びとして統合するプロセス、すなわち「経験」を象徴します。

 触媒はただ受け取るだけでは意味がありません。
 それを意識的に消化し、意味を見出し、自らの血肉とすることで、初めて魂の成長へと繋がります(SESSION 78)。
 失業という触媒を経験した人が、その出来事を通して「自分には会社員以外の生き方があるのかもしれない」と気づき、新しい道を歩み始めること、これが「経験」です。

 皇帝の姿は、このプロセスが「構造化」と「権威」を必要とすることを示唆しています。
 私たちは、無秩序な情報の洪水の中から、自分にとって意味のあるパターンを見出し、それを自分自身の真実として確立していく必要があります。
 カードの人物が左(無意識や過去を象徴)を向いているのは、経験の処理が、しばしば過去の記憶や無意識のバイアスに影響されることを示しています。

 これは、経験を通じて形成される「意味ある自己(SIGNIFICANTな自己)」、すなわち意識の教師を象徴します。

  ラーによれば、これは「精神がそれ自身のために構築した建築様式」です(SESSION 97)。
 日々の経験を通して、私たちは自分なりの価値観、信念、そして世界観を構築していきます。
 この構築された自己像こそが、その後の人生における経験の解釈や選択の基盤となるのです。

 法王の姿は、この自己像がしばしば社会的な伝統や権威(宗教、教育など)に大きく影響されることを示しています。
 足元にひざまずく二人の人物は、この「意味ある自己」が、他者に対して教えを垂れ、影響を与える力を持つことを象徴しています。
 この元型は、私たちがどのような「教師」として自己を確立していくのか、そしてその教えが他者への奉仕に基づいているのか、自己への奉仕に基づいているのかを問うています。

 これは、確立された自己像が、さらなる経験を通して変容を迫られるプロセス、特に「光と闇、二つの道への岐路と選択」を象徴します。

 ラーはこれを「精神の変容」と呼びます(SESSION 79)。
 人生のある時点で、私たちはそれまで築き上げてきた自己像(法王)では対応できないような、新たな触媒に直面します。

 このとき、私たちの心は変容を迫られます。

 カードに描かれた男性(意識)は、二人の女性(無意識の異なる側面、あるいは二つの異なる選択肢)の間で選択を迫られています。
 一方は美徳を、もう一方は快楽を象徴しているのかもしれません。

 この選択は、単なる行動の選択ではなく、魂の根源的な方向性、すなわち「他者への奉仕」か「自己への奉仕」かの選択を象徴しています。
 この元型は、私たちの進化が、安住することなく、常に自由意志による選択を通じて起こる、ダイナミックなプロセスであることを示しています。

 これは、変容を遂げた意識が、時空を超えて進化の道を進むための乗り物、すなわち「確立された人格」を象徴します。
 ラーはこれを「精神の大いなる道」と呼びます(SESSION 79)。
 数々の選択と変容を経て、私たちの心はより強く、より統合されたものになります。

 戦車に乗る人物は、もはや外部の状況に振り回されることなく、自らの意志で人生の舵を取っています。
 彼が手にする杖は、精神的な力をコントロールする能力を象徴しています。
 戦車を引く二頭のスフィンクス(白と黒)は、ポジティブとネガティブ、両極性の力を理解し、それらを統合し、バランスを取りながら前進する必要があることを示しています。
 この元型は、人格の訓練を通して確立された、揺るぎない自己の力を象徴しているのです。
 それは、もはや嵐に翻弄される小舟ではなく、自らの力で大海原を進む、堂々たる船なのです。

中編のまとめ

 精神を司る7つの元型が、私たちの意識の働きといかに深く結びついているか、その壮大な建築様式の一端が見えてきました。
 私たちの心は、無意識の海から触媒を受け取り、それを経験として消化し、自己像を確立し、選択を通して変容し、そして確立された人格の乗り物に乗って、大いなる道を進んでいきます。

 これらの元型を理解することは、日々の経験の背後にある意味を読み解き、それを霊的成長の糧へと変える、まさに「魔法」の鍵なのです。

 後編では、これらの精神の働きが、どのようにして肉体(ボディ)と霊性(スピリット)の経験へと繋がり、私たちをさらなる変容へと導いていくのか、より深遠な領域へと進んでいきます。

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