ラー文書第一巻、第二巻で「一なるものの法則」の壮大な宇宙観に触れた私たちは、第三巻でさらに深遠な領域へと足を踏み入れます。
ここから語られるのは、単なる知識ではなく、私たち一人ひとりの魂の変容を促す、実践的かつ深遠な霊的進化のプロセスです。
この前編では、宇宙に存在するポジティブ(他者へ奉仕)とネガティブ(自己へ奉仕)の両極性が、私たち地球人類とどのように関わっているのかを解き明します。
友好的な「連合」と、支配を目論む「オリオン・グループ」、二つの勢力からのコンタクトの性質、そして古代の叡智の象徴であるピラミッドやクリスタルが持つ真のエネルギーの秘密に迫ります。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。
高次元存在からのコンタクトの本質(SESSION 51, 53, 62)
ラーによれば、現在の地球には様々な高次元存在が関心を寄せていますが、その意図は大きく二つに分かれます。
一つは私たちの霊的進化を助けようとするポジティブな「連合」、もう一つは自らの支配欲を満たそうとするネガティブな「オリオン・グループ」です。
彼らの接触方法の違いを知ることは、私たちが目に見えない世界からの影響を識別するための重要な鍵となります。
連合からのコンタクト:ワンダラーの「目覚め」を促す
連合からの接触は、常に恐怖を与えることなく、エンティティ(存在)の潜在意識にある期待に沿った形で行われます。
彼らのコンタクトは、私たちの自由意志を最大限に尊重する形をとります。
なぜなら、真のポジティブな進化は、強制ではなく自発的な選択からのみ生まれることを彼らは深く理解しているからです。
SESSION 53で、ラーが語るように、その主な目的は、他の惑星から奉仕のために地球へ転生した魂「ワンダラー」を目覚めさせ、自らの使命を思い出させることにあります。
ワンダラーは、より高い密度の調和した世界から来ているため、第三密度の地球の波動に馴染めず、しばしば深い疎外感や孤独感を抱えて生きています。
連合からの接触は、彼らが内なる声に気づき、真実の探求を始めるための「活性化」の機会となるのです。
それは、人生全体を再文脈化するような突然の閃きであったり、目覚めてもなお心に深く残る鮮明な夢であったり、あるいは、まるで導かれているかのように感じる一連のシンクロニシティであったりと、多岐にわたります。
必ずしもUFOとの接近遭遇という劇的な形をとるとは限りません。
オリオン・グループからのコンタクト:恐怖による支配

一方、オリオン・グループからの接触は、その性質を全く異にします。
彼らの目的は、自己への奉仕の哲学を広め、地球からネガティブな「収穫」を得ること、つまり、自己奉仕の道を選んだ魂を自らの支配下に置くことです。
そのために、彼らは恐怖心を植え付け、エンティティを単なる「実験動物」のように感じさせることで、精神的に支配しようと試みます(SESSION 53)。
彼らのコンタクトは、しばしば誘拐や屈辱的な身体的検査といった、強烈な恐怖を伴う体験として報告されます。
ラーによれば、これは地球の住人を支配できるというオリオン・グループの力を誇示し、相手の意志を砕くための意図的な示威行為なのです。
恐怖は個人の波動を著しく低下させ、自己の力や創造主との繋がりを見失わせます。
この無力感こそが、オリオン・グループが他者を支配するための最大の武器となります。
【補足解説】バシャールが語るポジティブ/ネガティブなETの識別法
ラーが語る二つのコンタクトの性質は、高次元存在バシャールの教えとも深く共鳴します。
バシャールは、異星人との接触がポジティブなものかネガティブなものかを見分ける最もシンプルな方法は、接触後の自分の感情を見ることだと語ります。
これは、接触存在の意図が、あなたの感情というエネルギー的なバロメーターに直接反映されるからです。
もし、その体験の後に**「ワクワクする感覚、無条件の愛、深い平和、喜び、一体感、そしてインスピレーション」といったポジティブな感情が湧き上がるなら、それはあなたの自由意志を尊重し、成長を願うポジティブな存在からのコンタクトです。
逆に、「恐怖、不安、精神的な混乱、支配されている感覚、あるいはエネルギーを吸い取られたような消耗感」といったネガティブな感情が残るなら、それはあなたを支配し、利用しようとするネガティブな存在からのものだと判断できます。
この識別法は、ラーが語る連合とオリオンのコンタクトの目的と完全に一致しており、私たちが目に見えない影響を判断するための有効な指針となります。
霊的戦いと「サイキック・アタック」のメカニズム(SESSION 55, 57, 62)
ラーとの対話が進むにつれ、質問者グループ、特にチャネラーであるカーラは、オリオン存在からの激しい妨害を受けるようになります。
これは「サイキック・アタック」と呼ばれる現象で、目に見えない霊的なレベルでの戦いと言えます。
しかし、その本質を理解することで、私たちはこれを乗り越え、更なる成長の糧とすることができます。
霊的攻撃(サイキック・アタック)とは何か?
高次のネガティブ存在は、物理的に直接手を下すことは稀です。
彼らは、個人の肉体や精神に元々存在する「歪み(弱点)」、例えば持病や精神的なトラウマなどを、エネルギー的に増幅させることで攻撃します(SESSION 57)。
これにより、些細な不調が深刻な病状に発展したり、小さな不安が耐え難い恐怖にまで増幅されたりするのです。
しかし、ラーはこれが無差別なものではなく、奉仕への意志が強まることで、両極性のバランスを取るために引き寄せられる宇宙的な作用でもあることを示唆します。
光が強まれば、影もまた濃くなるのです。
この霊的戦いは、私たちが自らの内なる力を試し、確固たるものにするための試練とも言えます。
愛という名の最強の防御

では、この目に見えない攻撃にどう対処すれば良いのでしょうか?
ラーは、正直な愛の歪みに勝る魔法はないと断言します(SESSION 55)。
グループ内の調和を保ち、日常の些細なことに感謝し、そして最も重要なこととして、攻撃してくる存在に対してさえ愛と光を送ること。これが最も強力な防御となります。
攻撃者に愛を送るという行為は、一見矛盾しているように思えるかもしれません。
しかし、これは「すべてはひとつである」という一なるものの法則の究極的な実践です。
相手を敵として認識し、恐怖や怒りで対抗することは、相手と同じ低い波動の土俵に立つことを意味し、さらなる攻撃の機会を与えてしまいます。
愛と許しは、相手のネガティブなエネルギーを無力化し、自らをより高い波動の領域へと引き上げる、最も効果的な霊的柔術なのです。
『霊的柔術』の極意:相手の力を無力化する愛の波動
ラーが示す霊的柔術は、相手のネガティブなエネルギーを利用して、自らの霊的成長と変容を促します。
そのメカニズムはエネルギーの法則に基づいています。
恐怖、怒り、憎しみといった感情は、非常に低く重い波動です。
ネガティブな存在は、この種のエネルギーを糧とし、それを感知して引き寄せられます。
もし私たちが彼らの攻撃に対して恐怖や怒りで反応すれば、それは彼らにご馳走を提供し、「もっとどうぞ」と招き入れているのと同じことになってしまいます。
しかし、「愛と許し」のエネルギーは、この宇宙で最も高く、精妙な波動を持っています。
ネガティブな存在は、その低い波動の性質上、この高周波のエネルギーを利用することも、その中に長く留まることもできません。
ここに『霊的柔術』の極意があります。
相手から放たれた憎しみや恐怖という「力」に対して、同じ力で押し返すのではなく、全く質の異なる「愛」という高周波のエネルギーで応じるのです。
相手のネガティブなエネルギーは、あなたの愛という広大で高波動のエネルギーフィールドに触れた瞬間、その足場を失います。
あなたの送る愛は、相手の攻撃的な波動を中和し、あなた自身をその影響から守る最も強力なバリアとなります。
この実践を通して、あなたは外部からの攻撃に反応するだけの「被害者」から、どんな状況下でも自らの内なる状態を「愛」に定め、それを維持することを選択する**「共同創造主」**へとシフトするのです。
これこそが、触媒を最大限に活用し、自らのポジティブな両極化を加速させる、最も効果的な方法なのです。
愛と光のエネルギーが、相手を優しく、完全に包み込むのを視覚化する: 相手の幸せ、心の平和、そして魂の癒しを、見返りを求めず純粋に願います。
『あなたもまた、私と同じ創造主の尊い一部。あなたの旅路に、愛と光と平和がありますように』と。
【補足解説】『神との対話』に見る「悪」の不在
この「攻撃者に愛を送る」という概念は、ニール・ドナルド・ウォルシュの『神との対話』で語られる宇宙観と深く響き合います。
『神との対話』において、神は絶対的な悪や悪魔という存在を否定します。
私たちが「悪」と呼ぶものは、実際には「愛の不在」であり、愛とは何かを私たちが体験的に理解するために存在する「愛の反対側」に過ぎないのだと。
この視点に立つと、オリオン存在の行為もまた、私たちに「愛とは何か」「奉仕とは何か」という選択を迫り、私たちが自らの光をより強く輝かせるための機会を提供している、宇宙の壮大なドラマの一部であると理解できます。
この理解は、ラーが語る「攻撃者に愛を送る」という行為の、より深い哲学的基盤を与えてくれます。
ピラミッドとクリスタルが持つ癒しの力(SESSION 55, 56, 57, 58, 59)
ラーは、かつてエジプトや南米でピラミッド建設に関わったことを明かしています。
これらの建造物は、単なる王の墓やモニュメントではありません。
それらは、宇宙のエネルギーを集め、増幅させ、意識の進化を促すための、高度な形而上学的装置だったのです。
ピラミッド:らせん状の光エネルギーを集める装置

ピラミッドの特定の幾何学的形状は、宇宙に遍在する生命エネルギー(プラーナ、あるいはラーが言うところの「らせん状の光エネルギー」)を、その底面から吸い上げ、頂点に向かってらせん状に増幅させる機能を持っています(SESSION 56, 59)。
この「らせん状の光エネルギー」とは、単なる物理的なエネルギーではなく、「愛」という創造の意志を乗せた「光」、すなわち知的エネルギーそのものです。
このエネルギーは、自然界のあらゆる場所に存在しますが、通常は非定形で方向性を持たないため、特定の作業に使うことはできません。
ピラミッドは、この遍在するエネルギーに指向性を与え、利用可能な形に変換する宇宙的な「レンズ」や「ファンネル」のような役割を果たします。
その精密な角度と寸法は、地球自身の電磁場と共鳴し、エネルギーの流れを最大化するように設計されていました。
そして、ピラミッド内部の特定の位置、例えば「王の間」や「女王の間」と呼ばれる部屋は、それぞれ異なる目的のために設計されたエネルギーの焦点でした。
「王の間」は、女王の間を通ってさらに拡散・調整されたエネルギー場であり、エンティティ(存在)のエネルギー体を優しく再調整するためのヒーリングの場として使われていました。
「女王の間」は、エネルギーが最も純粋で強力に集中する場所であり、求道者が自己の深層意識と向き合い、エゴを超えて創造主との一体化を体験するための参入(イニシエーション)の場でした。
ここでは、自己の限界や幻想を乗り越え、霊的な復活を遂げるための変容が促されます。
ヒーリングのメカニズム

ラーが語るヒーリングの本質は、現代医学とは大きく異なります。
ヒーリングとは、ヒーラーが「結晶化した存在」として、つまり自らのエネルギーセンターがバランスされ、純粋な愛と光の導管となって、ピラミッドやクリスタルを通して宇宙のエネルギーを増幅し、癒される側のエネルギー体を再調整する機会を提供することです(SESSION 57)。
クリスタルは、その規則正しい分子構造によって「凍れる光」とも言え、ヒーラーの意志を増幅し、正確に焦点を合わせるためのツールとして機能します。
しかし、ラーが強調するのは、最終的に癒しを決定するのは、癒される側の自由意志による「選択」であるという点です。
どれほど強力なヒーラーや装置があっても、本人が心の奥底で変化を望まない限り、真の癒しは起こりません。
ヒーラーはあくまで、その人が自らを癒すための触媒に過ぎないのです。
【補足解説】セスが語る「思考は現実を創る」という宇宙の法則
この「癒しは自己の選択である」というラーの教えは、ジェーン・ロバーツを通じて語られた存在、セスの核心的なメッセージと深く共鳴します。
セスは一貫して、「あなた方は自らの現実を創造する。そして、そのための道具はあなた方の思考と信念である」と説きました。
これは単なる比喩ではなく、意識がエネルギーを形作り、物質的な現実を構築するという、宇宙の根本的な力学を指しています。
セスによれば、病気でさえも、私たちの内なる信念や未解決の感情的葛藤が、肉体というスクリーンに物理的なシンボルとして投影されたものです。
それは、内なる自己からのコミュニケーションであり、変化を促すためのメッセージなのです。
この視点からラーの教えを捉え直すと、ヒーリングのプロセスがより明確になります。
ヒーラーが提供するエネルギー的な「機会」とは、癒される側がそれまで固執してきた「病気という現実」を創造する信念体系を一時的に中断させ、「健康」という新しい可能性を提示するものです。
そして、癒される側が自らの自由意志でその新しい可能性を受け入れ、自らの内なる信念を再構築することを選択したとき、初めて肉体レベルでの変容、すなわち真の癒しが起こるのです。
まとめ
私たちの周りには、進化を助けようとする存在と、自己の利益のために支配しようとする存在が常に働きかけています。
しかし、そのどちらの働きかけも、最終的には私たちが「どちらの道を選ぶか」という選択をするための触暮となります。
ピラミッドやクリスタルのような古代の装置さえも、私たちの意識を本来の姿である創造主へと向かわせるためのツールに過ぎません。
最も重要なのは、すべての経験を通して自己を知り、恐怖ではなく愛に基づいた選択を重ねることで、愛という名の最強の盾を自らの中に確立していくことなのです。

ブログの要約を読んで、ラー文書に興味が湧いたらぜひ本書を一読してみてください。
現在第3巻までは日本語訳で出版されています。