セスブック3『知られざる現実 第1巻』要約と解説 中編:すべては「今、ここ」にある – 意識の単位(CU)と多次元的時間論

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 前編では、「確率的な自己」という、もう一人の自分の存在に触れ、私たちの自己像を大きく揺さぶりました。

 では、そのような無数の現実を成り立たせている、宇宙の根源的な仕組みとは一体何なのでしょうか?

 中編では、セスが提示する概念の中でも最も核心的で難解とされる「意識の単位(CU)」と、私たちの常識を覆す「多次元的な時間」の構造に迫ります。

 物質や時間という幻想のヴェールを剥がし、すべての存在が「今、ここ」に同時にきらめいている、壮大な実相を探求していきます。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

目次

すべての根源「意識の単位(CU)」とは?

 もし、この宇宙に存在するすべての物質、すべての生命、そして私たちの思考や感情さえも、たった一つの根源的な「何か」から生まれているとしたら、それは一体何だと思いますか?

 現代物理学が、物質を構成する究極の素粒子(クォークやレプトンなど)を追い求めるように、セスは、すべての現実を創造する究極の単位は「物質」ではなく「意識」であると断言します。

 それが**「意識の単位(Consciousness Units)」セスが本書で「CU」**と呼ぶものです。

 セスによれば、CUとは、私たちが知るどんな原子や素粒子よりも、はるかに根源的な存在です。
 それは、決して破壊されることのない純粋なエネルギーの噴出であり、それ自体が「内なる創造的な衝動(propensity)」、つまり無限の発展と組織化への衝動を内に秘めています。

「この基本的な単位は、予測不可能性を賦与されています。そのまさに予測不可能性が、無限のパターンと成就を可能にするのです」

 CUは単なるエネルギーではなく、意志や方向性を持った「霊的なDNA」のようなものと考えることができます。
 物理的なDNAが身体の設計図であるように、CUは現実そのものの設計図の素であり、常に成長し、より複雑で豊かな経験を創造しようとする意図を内包しているのです。
 このCUが、まるで目に見えない微細な創造主のように、互いに結合し、組織化することで、思考や感情、そして原子や分子といった物理的な現実が形作られていきます。
 つまり、あなたの身体を構成している細胞も、あなたが今抱いているこの思考も、元をたどればすべて、この「意識の単位」のきらめきなのです。

 これは、現代の物理学における「超ひも理論(ストリング理論)」の概念を彷彿とさせます。
 超ひも理論では、すべての素粒子は点ではなく、振動する「ひも」であると考えられています。
 その振動の仕方の違いが、電子や光子といった異なる粒子として現れる、というのです。

 セスのCUもまた、その組織化のパターンや「内なる創造的な衝動」の違いによって、この宇宙の森羅万象を織りなしている、究極の「意識のひも」と捉えることができるかもしれません。

 CUの性質は、私たちの常識的な物理法則を遥かに超越しています。

  • 光速を超える動き:
     セスは「もちろん、それらは光より速く動く」と断言します。
     アインシュタインの相対性理論では、質量を持つ物体は光速に達することができないとされています。
     このことは、CUが私たちが知る「物質」ではなく、物理法則が生まれる以前の、より根源的な領域に属していることを示唆しています。
  • 遍在性:
     さらにセスは『この基本的な意識の単位は、すべての場所に一度に存在することができる。それらはすべての場所に一度に存在しているのです』と語ります。
     これもまた、量子力学における「量子もつれ(エンタングルメント)」という不思議な現象を思い起こさせます。
     離れた場所にある二つの粒子が、まるで情報を交換しているかのように瞬時に互いの状態に影響を与え合うこの現象は、「常識的な空間の隔たり」が幻想である可能性を示唆しており、CUの遍在性を理解する上での一つのヒントとなるはずです。
  • エネルギーの出入り口:
     セスはCUを「極めて強力な、微小なブラックホールとホワイトホール」に例えます。

     CUを通して、私たちの知る宇宙システムへと絶えず新しいエネルギーが流れ込み(ホワイトホール)、また別の次元へとエネルギーが流れ出ていく(ブラックホール)。
     私たちの宇宙は閉じられた系ではなく、この無数のCUを通して、常に多次元的なエネルギーの海と呼吸を共にしているのです。
     物理学の「量子真空」の概念では、何もない空間から常に素粒子が生まれては消える「仮想粒子」のペア生成が起こるとされています。
     これもまた、何もないところからエネルギーが現れるというセスの描写と、どこか響き合うものがあります。

時間は一本の線ではない – 多次元的な時間の構造

CUの性質を理解すると、次に私たちの前に現れるのは、さらに大きな謎、「時間」の本質です。私たちは過去から未来へと流れる一本の川のような時間を生きていますが、セスによれば、それもまた、より壮大な構造の一側面に過ぎません。

 セスの教えにおける最も重要な柱の一つが、**「すべての時間は同時に存在する」**という概念です。
 あなたの過去も、現在のあなたも、そして未来に起こりうる全ての可能性も、実は「今、この瞬間」に、異なる次元で同時に存在しているのです。

 これは、一部の物理学者や哲学者が提唱する「ブロック宇宙(Block Universe)」という考え方に似ています。
 この理論では、宇宙は過去から未来までの全ての出来事が書き込まれた、巨大な4次元の「ブロック」のようなものであり、「現在」とは、そのブロックを私たちの意識がスライスして認識している断面に過ぎないとされます。

 セスも同様に、私たちの人生は「一度にすべて」存在しており、それを誕生から死への連続した物語として体験するのは、私たちの知覚の特性によるものだと説明します。

 この概念の実践的な意味は計り知れません。
 「過去は変えられない」という私たちの思い込みは、実は幻想かもしれないのです。
 現在のあなたが新しい信念を持ち、新しい行動を起こすことで、あなたの意識は過去の出来事に新しい意味を与え、その出来事が現在のあなたに与える影響力(エネルギー)を変化させることができます。

 つまり、過去の出来事そのものを消すことはできなくても、現在の視点から過去を「癒し」「書き換える」ことは可能なのです。

 では、なぜ私たちの現実は他の無数の確率的現実と混ざり合ってしまうことなく、安定して見えるのでしょうか?

 セスは、ここで「時間」が持つ、驚くべきもう一つの動きについて言及します。それは、前後だけでなく「内側と外側への動き(inward and outward thrust)」です。

「この内側と外側への動きが、それぞれの宇宙システムの境界と独自性を効果的に設定し、同時にそれらの間での絶え間ないエネルギーの授受を可能にしています」

 この「内と外への動き」は、私たちの宇宙と他の確率的な宇宙との間に、見えない「膜」のようなものを形成しているとイメージできます。
 この膜があるからこそ、私たちの世界は独自性を保つことができます。
 しかし、それは完全な壁ではなく、細胞膜が栄養を取り入れ老廃物を排出するように、CUを介して常にエネルギーの交換が行われています。
 そして、この絶え間ない内と外への振動、いわば「宇宙の呼吸」とも言える脈動こそが、私たちが「一方向へ流れる時間」として体験しているものの正体なのです。
 この膜があるからこそ、前編で述べたような、確率的な自己との間での「無意識の交流」が可能になるのです。

「予測不可能性」こそが自由意志の源泉

 さて、ここまでの話で、私たちの現実はCUという根源的な単位から成り、多次元的な時間の中に存在していることが分かりました。
 しかし、セスはさらに踏み込み、この宇宙の最も基本的な性質は「秩序」ではなく「予測不可能性(unpredictability)」であると述べ、私たちを驚かせます。

 これは一見、矛盾しているように聞こえるかもしれません。
 しかしセスは、真の秩序と創造性は、完全な予測不可能性の中からしか生まれない、と説きます。

「意識が完全に自由であるためには、予測不可能性を賦与されなければなりませんでした。『すべてであるもの(All That Is)』は、それ自身を驚かせる必要があったのです」

 もし宇宙のすべてが予測可能な法則で決まっていたら、そこには新しい経験、新しい価値、新しい喜びは生まれません。
 創造とは、未知への跳躍そのものです。
 したがって、「予測不可能性」は、存在が無限に自己を更新し、価値を達成するための絶対条件なのです。
 これは、複雑な模様を描き出す雪の結晶や、自己組織化する生命体にも通じる、現代科学における「カオス理論」や「創発」の概念と響き合います。
 単純でランダムに見えるルールから、予測不能で美しい秩序が自然に生まれてくる現象です。
 私たちの自由意志もまた、この根源的な予測不可能性に支えられているのです。

 では、根源が予測不能なカオスであるならば、なぜ私たちの日常はこれほどまでに安定し、一貫性があるように見えるのでしょうか?

 その答えは、前編でも触れた、私たちの意識が持つ**「セレクティビティ(選択性)」**にあります。
 私たちの意識は、予測不能な情報の奔流の中から、自分が見たいと望む、秩序だった一つの流れだけを知覚しています。
 その安定性は、宇宙に元々備わっている性質ではなく、私たち自身の「意識の焦点化」という創造行為の賜物なのです。

 これを音楽の演奏に例えるなら、予測不能な音の可能性(ノイズの海)の中から、音楽家(あなたの意識)が特定の音階とリズム(あなたの信念体系)を選び出し、一貫したメロディ(あなたの現実)を奏でているようなものです。
 メロディは安定して聞こえますが、その背景には無限の音の可能性が常に存在しています。
 私たちは皆、この選択という強力な能力を使って、無限の可能性の中から自分の人生というユニークで秩序だった芸術作品を創造している「アーティスト」なのです。

 この点について、セスは細胞を例に挙げてこう述べています。

「例えば、あなたの身体にある心臓の細胞は、心臓の細胞として完璧に機能しているように見えます。それはまるで、その細胞が『心臓になる』という運命を最初から決められていたかのようです。しかし、それは、あなたが『自分には心臓が必要だ』という現実に意識を合わせているために、その細胞が肝臓や皮膚になる、といった『矛盾した可能性』を一切観察していないからに過ぎないのです」

つまり、ある出来事が「必然」や「運命」のように見えるのは、私たちの意識がその現実を選択し、それ以外の「あり得たかもしれない可能性」をフィルターで除外して見えなくしているから、というわけです。
 私たちの現実は、この無意識下での絶え間ない選択によって、奇跡的な安定性を保っているのです。

まとめ

この中編では、セスブック『知られざる現実』の形而上学的な核心に迫りました。

  • すべての現実は、光より速く、時空を超える「意識の単位(CU)」から創造されている。
  • 時間は一方向に流れる線ではなく、過去・現在・未来が同時に存在する多次元的な構造を持っている。
  • 宇宙の根源には「予測不可能性」があり、それこそが私たちの自由意志と創造性の源泉である。

 これらの概念は非常に抽象的ですが、私たちが体験する現実世界の「OS(オペレーティングシステム)」とも言える、根源的な法則です。
 あなたは、時空を超えた意識の粒子から成り、多次元的な時間の中に生きる、自由な創造主なのです。

 では、この宇宙のOSを理解した上で、私たち「人類」という種は、どのような壮大な物語を紡いできたのでしょうか?
 神話や伝説、そして私たちのDNAに刻まれた記憶の奥には、どのような「知られざる現実」が隠されているのでしょうか?

 後編:神話と叡智の再発見 – 種の進化と多次元意識の目覚めでは、この深遠な知識を、神話や人類の歴史、そして私たち一人ひとりの意識の進化へと繋げていきます。

ブログを読んで、さらに見識を深めたいと思ったら、ぜひ本書を手に取ってみてください。
本書は英語版のみとなります。

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