セスブック 初期SESSION 第1巻(後編):第五次元と「広大なる現在」という時空概念

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 私たちが体験する物理的世界は、内なる「観念」が創り出した精巧な「カモフラージュ」であり、その背後にある実相を知覚するための「内なる感覚」が、すべての人間の中に眠っていること。

 そして、私たちの意識が「自我」「潜在意識」「内なる自己」という多層的な構造を持っていること。
 これらの概念は、私たちが自分自身と世界を捉える視点を、根底から変容させる力を持っています。

 この後編で扱うセッション29から42は、その変容を決定的なものにする、セス哲学の核心部分へとさらに深く分け入っていく旅です。

 私たちが絶対的なものとして信じている「時間」という概念そのものが幻想であるとしたら?
 私たちの宇宙と並行して、無数の別の宇宙が存在しているとしたら?
 そして、この宇宙の創造に、私たち自身が参加していたとしたら?

 常識という最後の砦が崩れ去り、意識がその無限の可能性へと開かれていく、セスブック初期セッション第1巻の後編への旅へ案内します。

 本ブログの内容をラジオ形式の音声化したものです。
 文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

目次

時間は存在しない?「広大なる現在(Spacious Present)」(SESSION 29, 34, 41)

 セス哲学において、最も革命的で、理解が難しいとされる概念の一つが「時間」についての教えです。

 セスは、私たちが体験している「過去・現在・未来」という直線的な時間の流れは、物理次元というカモフラージュの世界に特有の、人工的な観念構造に過ぎないと断言します。

 セスによれば、実相における真の時間の姿は、「広大なる現在(Spacious Present)」です。
 これは、すべての出来事――あなたが生まれた瞬間も、今この文章を読んでいる瞬間も、そしてあなたの人生最後の瞬間も――が、一つの「現在」の中に同時に存在している、という驚くべき概念です。

 それは壮大な交響曲の楽譜のようなものです。
 楽譜の上には、第一楽章の最初の音符から、最終楽章の最後の音符まで、すべてが同時に存在しています。

 私たちが「時間」として体験しているのは、この楽譜を冒頭から一音符ずつ順番に演奏し、体験しているプロセスに他なりません。
 しかし、演奏者(自我)が今どの小節を弾いていようとも、楽譜全体(広大なる現在)は常に完全な形で存在し続けているのです。

 セスは語ります。
「あなたがたの世界では、物理的な操作が伴います。それが過去と未来という幻想、そして現在がそれ自体、つかの間の、ほとんど実体のないものであるかのような幻想を与えるのです」と。

 私たちの五感は、物質が生まれ、成長し、やがては朽ちていくという「変化」を捉えるように設計されています。
 この連続的な変化の知覚こそが、「時間が流れている」という強力な錯覚を生み出しているのです。

 この直線的時間という観念は、もう一つの強力な観念構造、「原因と結果の法則」を生み出しました。
 過去のある出来事(原因)が、現在の状況(結果)を生み出し、現在の行動(原因)が、未来の状況(結果)を決定づける。
 これは、私たちの論理的思考の根幹をなす、疑いようのない法則に思えます。

 しかしセスは、これもまたカモフラージュの世界に特有の幻想であると指摘します。

 「広大なる現在」においては、過去も未来も存在しないため、「過去が現在を引き起こす」という考え方自体が成り立ちません。

 では、私たちの経験における一貫性や秩序はどこから来るのでしょうか?

 セスによれば、それは「原因と結果」ではなく、「自発的な秩序」と「同時的な相互作用」によるものだと言います。
 すべての出来事は、互いに影響を与え合いながら、「今、この瞬間」に同時に創造されているのです。
 過去の出来事が現在のあなたを縛っているのではありません。
 「今、この瞬間」に、あなたが過去の出来事に対して抱いている信念や感情が、現在のあなたを創造しているのです。
 この理解は、私たちを過去の呪縛から解放し、未来への不安を和らげ、すべての力が「今、この瞬間」に集約されていることを教えてくれます。

 私たちが真に変化を起こせるのは、過去でも未来でもなく、この「広大なる現在」という一点においてのみなのです。

セスが語る「第五次元」と多次元宇宙(SESSION 29, 31, 40, 42)

 セスとの対話は、私たちの世界の枠組みを超え、宇宙そのものの構造へと広がっていきます。

 彼は、私たちの物理宇宙が決して唯一のものではなく、無数の異なるリアリティ(実相)が、すぐ隣に、あるいは私たちを貫くようにして存在している「多次元宇宙」のヴィジョンを提示します。

 セスは、これらの異なるリアリティを「プレーン(Plane)」という言葉で表現します。
 重要なのは、プレーンが遠い銀河の彼方にあるような「場所」を指すのではない、という点です。
 それはむしろ、意識が経験を積むための、それぞれに独自のルールを持つ「現実のシステム」あるいは「意識の活動領域」と呼ぶべきものです。

 セスはこう説明します。
あなたがたの惑星の上には、あなたがたの惑星と同時に、無数のプレーンが存在しています。あなたがたの固体的な地球は、あなたがたの地球と同じ空間を構成しているように見える他のプレーンの住人にとっては、有効なものではありません

 これは、同じ空間に、異なる周波数のラジオ放送が重なり合って存在しているのに似ています。
 私たちは特定の周波数(私たちの物理次元)にチューニングしているため、他の周波数の放送(他のプレーン)を知覚することができません。

 しかし、それらが存在しないわけではないのです。

 同様に、私たちの物理次元とまったく同じ「空間」に、知覚できないだけで無数のプレーンが共存しているのです。
 それぞれのプレーンは、独自のカモフラージュ・システム、つまり、その世界を成り立たせている根本的な物理法則や知覚のあり方を持っています。
 例えば、私たちのプレーンが「物質の操作と感情の体験」を学ぶためのものであるとすれば、別のプレーンは「純粋な音による創造」を学ぶ場であったり、「時間という概念を持たない」リアリティであったりするかもしれません。
 そこに住まう意識たちは、そのプレーン独自のルールに沿った現実を、私たちと同じようにリアルなものとして体験しています。
 この視点に立つと、私たちが「固体」として認識している物質が、別のプレーンの住人にとっては存在しないか、あるいは全く異なる形(例えば、純粋なエネルギーや音、あるいは彼らの知覚では捉えられない何か)として知覚されているのかもしれない、ということが理解できます。
 さらに重要なのは、これらのプレーンの境界は完全に閉じられているわけではなく、多孔質で、常にエネルギーや意識の交流が行われているという点です。

 私たちの「内なる自己」は、実はこの物理次元だけでなく、他の多くのプレーンにも同時に根を下ろしています。
 夢を見ている間や、深い瞑想状態にある時、私たちの意識は一時的に物理次元の周波数から離れ、これらの他のプレーンの現実を断片的に体験することがあるのです。

 インスピレーションやデジャヴ、あるいは説明のつかない神秘体験といったものは、このプレーン間の意識の「にじみ出し」によって起こる現象なのかもしれません。

 セスは、これらの無数のプレーンを内包し、繋ぎ合わせている、より根源的な実相の領域を「第五次元」と表現しようと試みます。
 それは、すべてのプレーンがそこから生まれ、そこへと帰っていく、創造の源泉とも言える空間です。
 この多次元的な宇宙観は、UFO(セスは「飛行するソーサー」と呼びます)についての彼のユニークな見解にも繋がります。
 セスによれば、UFOは地球外の惑星から物理的な宇宙船で飛来しているのではなく、別のプレーンから私たちの次元へと侵入してきた存在だと言います。
 彼らが私たちの世界で奇妙な形で見えたり、物理法則を無視したような動きを見せたりするのは、彼らの本来の存在形態(カモフラージュ・パターン)が、私たちの次元のルールと衝突し、「歪み」を生じさせているためです。

 それは水中に差し込んだ棒が、水面を境に屈折して見えるのと似ています。
 棒そのものが曲がったわけではなく、異なる媒体(空気と水)の境界で、光の伝わり方が変わったためにそう見えるのです。
 同様に、UFOの存在も、異なるプレーンの境界で、エネルギーの現れ方が変わるために、私たちの常識では理解できない形で知覚されるのです。
 この教えは、宇宙が私たちが想像する以上に豊かで、多様な意識に満ち溢れていることを示唆しています。

 そして、それらの異質なリアリティとの真のコンタクトは、物理的な宇宙旅行によってではなく、私たち自身の「内なる感覚」を発達させ、意識の周波数を変えることによってのみ可能になるのです。

宇宙の創造:すべての魂が参加した壮大な共同作業(SESSION 32, 41)

 私たちの世界観を根底から覆すセスの教えは、ついに万物の根源、「宇宙の創造」というテーマにまで及びます。
 セスが語る創造の物語は、特定の神が一方的に世界を創ったという従来の神話とは全く異なります。
 それは、すべての意識が参加した、壮大で、そして今なお続く共同創造のドラマなのです。

 セスによれば、宇宙は過去のある一点で創造され、完成したものではありません。

 『宇宙は、絶えず創造され続けています』

 これは、前述の「広大なる現在」という概念と深く結びついています。
 すべての存在は、「今、この瞬間」に、その根源的なエネルギー(バイタリティ)から生まれ続けているのです。

 私たちが呼吸をするたびに、心臓が鼓動するたびに、私たちの身体は、そしてこの世界は、瞬間、瞬間、新たに創造されているのです。
 この視点に立つと、創造とは遠い過去の神話的な出来事ではなく、私たち一人ひとりが、今まさに参加している、生きたプロセスであることがわかります。

意識の誕生と無限の可能性

 では、この物理宇宙の最初の「発火」は、どのようにして起こったのでしょうか?

 セスは、驚くべきヴィジョンを提示します。
『あなたがたのプレーンは、ある種の経験を必要とする十分な数のエンティティが、そのような創造を正当化するに至ったために生まれ、彼らは進化のプロセスを通じてそれを形成し始めました

 これは、私たちの宇宙が、目的もなく偶然に始まったのではないことを示唆しています。
 それは、物質という制約の中で「感情」を深く味わい、「創造性」を探求し、「個」としての意識を発達させる、といった特定のテーマを学ぶことを望んだ、無数の魂たちの集合的な意図の結果だったのです。

 彼らは、自らの成長のために、この物理次元という壮大な学びの場を共同で設計した、と言えるでしょう。

 そして、その設計図が現実のものとなった、最初の物質的な粒子が生まれた瞬間について、セスはこう語ります。
 『その最初の微小な粒子は、その後に地球上に住まうことになる、あるいは住まうであろうすべてのエンティティの意志とエネルギーを体現していました』

 これは、この物理次元で経験を積むことを選択した、あるいはこれから選択するであろう、すべての魂(エンティティ)の集合的な意図とエネルギーが、愛と信頼のもとに一点に集中し、この宇宙という壮大な舞台を創造した、ということを意味します。
 その最初の粒子には、アインシュタインの魂も、あなたの魂も、道端の草花の魂も、すべての意志が凝縮されていたのです。
 つまり、この宇宙の創造には、あなたも、私も、そして地球上のすべての生命が、その始まりから一部として参加していたのです。

 私たちは、この宇宙という劇場の観客ではなく、まさにその創造主の一員なのです。

 この壮大なプロセスを、私たちの日常的な経験に引き寄せて理解するために、セスは夢の創造を例に取ります。
 私たちが普段、無意識に行っている夢の創造を考えてみてください。
 夢の中で、私たちは何の努力も意識することもなく、複雑でリアルな世界、登場人物、そして物語を瞬時に創り出します。
 夢を見ている「私」は、その世界の創造主であり、主人公であり、そしてすべての登場人物でもあります。
 同様に、私たちの意識のより深い部分である「内なる自己」は、他の無数の内なる自己たちと協調しながら、この物理宇宙という共通の夢を、絶えず創造し続けているのです。

 そして、私たちの思考、感情、信念の一つひとつが、この共通の夢の世界の質を、瞬間、瞬間、変容させている、という大いなる責任と可能性を担っているのです。

まとめ:初期セッションを超えて

 セッション1から42にわたる「初期セッション」の旅は、私たちを日常的な意識の地平から、遥かに広大な内なる宇宙へと導いてくれました。
 娯楽として始まったウィジャ盤での対話は、フランク・ワッツという慎重な案内役を経て、やがて偉大な教師セスとの、本格的で深遠なコミュニケーションへと発展しました。
 この期間を通じて、ジェーン・ロバーツのチャネリング能力は飛躍的に進化し、ウィジャ盤を必要とした初期段階から、セスが直接彼女の声と身体を使って語る、流れるようなトランス状態へと移行していきました。

 この初期セッションで提示された数々の概念――「観念の構築物」「内なる感覚」「エンティティと断片」「広大なる現在」――は、すべてが相互に結びつき、一つの壮大な世界観を織りなしています。
 それは、私たちが物理的な身体に閉じ込められた、無力で孤立した存在なのではなく、時間と空間を超えた多次元的な意識であり、自らの現実を創造する力強い能力を持った「エネルギー人格エッセンス」なのだ、という核心的なメッセージです。
 これらの教えは、時に荒削りで、セス自身も言葉を探しながら語っているような部分もありますが、それゆえに、後期の洗練された哲学にはない、根源的でパワフルなエネルギーに満ちています。

 この初期セッションは、単なる始まりの記録ではありません。

 それは、私たちが自らの内なる声に耳を澄まし、自分自身の「内なるセス」と対話し、現実の共同創造主として目覚めていくための、永遠の招待状なのです。

ブログを読んで、さらに見識を深めたいと思ったら、ぜひ本書を手に取ってみてください。
本書は英語版のみとなります。

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