セスブック5『夢、進化、そして価値実現』第1巻後編:夢見る意識の進化と魂の目覚め

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 中編では、セスが解き明かす壮大な宇宙創成の物語と、「価値実現」という生命の根源的な目的を探求しました。
 では、この無限の可能性を秘めた宇宙のドラマは、地球という舞台の上で、私たち人類という主人公を通じて、どのように演じられてきたのでしょうか。

 この最終章である後編では、人類意識の黎明期、その内なる歴史へと分け入っていきます。
 これは、私たちが学校で習うような外面的な歴史ではありません。
 それは、私たちの意識がどのようにして現在の形になったのか、その進化の軌跡をたどる、魂の考古学です。

 かつて人類が「夢遊病者(スリープウォーカー)」として、夢の世界を現実として生きていた時代。
 旧約聖書の「エデンの園」の物語に隠された、分離意識の誕生と「魂」の獲得の真実。
 セスは、私たちが忘却の彼方へと追いやってしまった、人類の失われた記憶を呼び覚まします。

 この物語は、決して遠い過去のおとぎ話ではありません。

 それは、今もあなたの内側で脈々と受け継がれる意識の遺産であり、あなたが毎夜見る夢の根源に繋がっています。

 人類意識の進化の物語を知ることは、あなた自身の意識が持つ無限の可能性と、次なる目覚めへの扉を開く鍵となるはずです。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

前編はこちら↓↓↓↓

中編はこちら↓↓↓

目次

「夢遊病者」の時代:夢こそが現実だった頃

 セスが描き出す人類の初期の姿は、私たちの想像を遥かに超えた、幻想的で力強いものです。
 彼は、現代の私たちが「現実」と呼ぶ物質的な世界への完全な没入が起こる以前の、長大な期間を「夢遊病者(スリープウォーカー)の時代」と呼びます。
 この時代、人類の意識の重心は、今とは全く異なるところにありました。

 彼らは、私たちが「睡眠」と呼ぶ状態、つまり夢の世界で、人生の主要な活動を行っていたのです。

 覚醒は、あくまで肉体を維持するために食事を摂ったり、子孫を残したりするための一時的な状態に過ぎませんでした。
 彼らにとっての「本当の人生」は、形や物理法則に縛られない、広大で流動的な夢の領域で繰り広げられていたのです。

 この時代の地球は、現在の私たちが知る物理法則とは異なる、より柔軟なルールで動いていました。物理的な現実が、まだ完全に「固まりきって」いなかったのです。

「その時代の空気はもっと浮力があり、重力そのものが、その隅々まで行き渡るような支配力を持っていませんでした。人間は、豪華で親密な形で、その(空気の)支えを意識していました」

 彼らが主に用いていたのは、物理的な肉体ではなく、柔軟でエネルギーに満ちた「夢の身体(ドリームボディ)」でした。
 この身体は、物理的な制約を超えて、自由に風景の中をさまようことができました。

 セスによれば、この時代の人間は、自らのアイデンティティが皮膚の内側で終わっているとは感じていませんでした。
 自己の感覚は、肉体の外側へと広がり、大気と融合するような、現代人が忘れてしまった根源的な一体感を経験していたのです。

 この「夢の身体」は、食事や衣服を必要としませんでした。
 しかし、それは決して非活動的な状態ではありませんでした。
 むしろ、この夢の状態こそが、彼らの主要な活動舞台だったのです。
 彼らは夢の中で、未来の文明の礎となる、壮大な精神的建築を行っていました。

「彼らは、今や時間と同盟を結んだがゆえに、過去だけでなく未来をも自動的に創造するような精神的な建造物を、その固有の歴史と共に築き上げていました」

 山は隆起し、崩れ落ち、海は満ち、引いていく。
 すべてが流動的で、創造の実験が絶えず行われている世界。
 その中で、夢遊病者たちは、後に物理世界を生き抜くために必要なすべての知識と能力を、夢の中で学び、実践していました。
 体温の維持、バランスの取り方、内臓の働きといった、今では完全に無意識化された身体の調整機能も、この時代に夢の中で習得された高度な技術だったのです。

補足】「夢遊病者の時代」はいつ頃のことか?

 ここで多くの読者は、「この『夢遊病者の時代』とは、具体的に何万年、何十万年前のことなのだろう?」という疑問を抱くかもしれません。

 結論から言うと、セスはこの時代が具体的に何年前だったかという明確な年数については言及していません。

 なぜなら、セスは私たちが用いる直線的な時間という概念自体が、物理世界に特有の「創造的な構造物」であり、この初期の時代は現代の時間スケールでは正確に測ることができない、と説明しているためです。

 セスは、この期間の長大さを「あなた方の時間スケールによれば、永遠(eons)とも思える期間」あるいは「何世紀にもわたって(for many centuries)」と表現しています。

 したがって、この物語を歴史年表上の出来事として捉えるのではなく、私たち人類の意識が体験した、質的に異なる発展段階として理解することが、セスの意図をより深く汲み取ることにつながるでしょう。

 この時代の最も驚くべき側面の一つが、コミュニケーションの方法です。
 言語が主要な伝達手段となる以前、夢遊病者たちは、夢の世界を通じて、他の人間や、さらには他の生物種とさえも直接コミュニケーションを取っていました。

 セスは、この状態を、すべての生命が繋がる一種の「内なる情報網」あるいは「生物学的なインターネット」に例えることができます。
 すべての種は、夢の次元で互いの存在を共有し、協力し合っていたのです。

「それらの初期の時代、すべての種は、今ではあなた方の種にとって全く無意識となっている方法で、彼らの夢を分かち合っていました。」

 例えば、食料や水源を見つけるために、彼らは物理的に動物の足跡を追うのではなく、夢の中で動物たちの意識に直接問いかけ、その場所を教えてもらっていたのです。
 移住すべき肥沃な土地の情報でさえ、夢の中で与えられる文字通りの「道筋」に従っていました。
 この時代、人間と自然、そしてすべての生命は、分離不可能な一つの意識のネットワークとして存在していたのです。
 これは、思考が瞬時に伝わるテレパシー的なコミュニケーションであり、後の言語の誕生とは全く異なる原理で成り立っていました。

「自己」の目覚めとエデンの園の伝説

 長大な夢の時代を経て、人類の意識は次なる大きな進化のステップへと踏み出します。
 それは、夢の領域から物質世界へと意識の焦点を完全に移し、私たちが現在「自己」と呼ぶものを確立するプロセスでした。
 セスは、この壮大な意識の移行の記憶が、神話や伝説の中に象徴的に保存されていると語ります。

 セスによれば、私たちの「自己」は、単一のものではなく、少なくとも三つの主要な部分から成る、見事な共同事業体です。

  1. 内なる自己(Inner Self):
     あなたの最も根源的なアイデンティティ。
     時間と空間を超えた多次元的な存在であり、夢や直感を通じてあなたを導く、魂の核心部分です。
  2. 身体意識(Body Consciousness):
     あなたの肉体を構成する何兆もの細胞や原子が持つ、驚異的な集合的知性。
     それは、肉体の維持、成長、治癒といった複雑なプロセスを完璧に管理しています。
  3. あなたが「自分」と呼ぶ意識(the consciousness that you know):
     一般的に「自我」や「エゴ」と呼ばれる部分。
     物理世界に焦点を合わせ、時間と空間の中で行動し、思考し、選択するために特化した意識です。

 「夢遊病者」の時代、人類は主に「内なる自己」として生きていました。
 しかし、物理世界が安定し、そこでの経験がより重要になるにつれて、「内なる自己」は、自らの一部を分離させ、物理世界に特化した新しい意識、つまり「自我(エゴ)」を誕生させたのです。

「内なる自己は、あまりにも自らの多次元性を意識していたため、あなた方の言葉で言えば、時空の中の身体を通して、自らに心理的な誕生を与えたのです。それは、物理的な生き物として自らを知りました」

これは、意識が自らを制限し、焦点を絞ることで、全く新しい種類の経験――物理世界での個別化された生――を可能にするための、意図的で創造的な行為でした。

 自我の誕生は、堕落ではなく、意識の新たな冒険の始まりだったのです。

セスの「内なる自己」とバシャールの「ハイヤーマインド」:同じ真理を指す二つの言葉

 このセスの自己モデルは、バシャールが語る「ハイヤーマインド」と「フィジカルマインド」の関係性と見事に一致します。

  •  セスの言う「内なる自己」は、バシャールの「ハイヤーマインド(高次の自己)」に相当します。
     ハイヤーマインドは、時間と空間の外側から、私たちの人生全体のブループリントを把握し、最も成長に繋がる道を示すために、「ワクワク」という情熱のエネルギーを通じて私たちにガイダンスを送ります。
  •  セスの言う「あなたが自分と呼ぶ意識(自我)」は、バシャールの「フィジカルマインド(物理的な精神)」に相当します。
     フィジカルマインドは、この物理世界を経験し、思考し、判断し、行動するための意識ですが、その視野はハイヤーマインドに比べて限定的です。

 セスもバシャールも、私たちの自我は決して孤立した存在ではなく、より大きく賢明な自己(内なる自己/ハイヤーマインド)と常に繋がっており、その導きを受け取ることが、最も豊かで喜びに満ちた人生を送る鍵であると教えています。

セスは、旧約聖書の「エデンの園」の物語を、この意識の移行を象徴的に描いた神話として再解釈します。

「エデンの園の伝説は、物理的な生き物としての、人間の目覚めの歪められたバージョンを象徴しています。彼は、物理的な身体の中で完全に機能するようになり、覚醒している間は、かつてあれほどリアルであった夢の身体を、もはやほとんど見ることができなくなります」

「追放」とは、夢の身体という、万物との一体感に満ちた状態を「失う」ことでした。

 その代償として、私たちは個別化された自我と「魂(ソウル)」を獲得したのです。

 この「魂」とは、一つの特定の肉体と人生に結びついた、ユニークなアイデンティティを指します。

 物理的な身体に意識を固定したことで、私たちは初めて、他の生き物や自然から「分離」しているという感覚を経験しました。
 この「分離」の感覚は、孤独や恐れといった、新たな種類の苦しみを生み出しました。
 しかし同時に、それは愛、友情、共感といった、他者との絆を求める強い動機も生み出しました。

 そして何より、この個別化された視点があったからこそ、人間は「自分ではない他者」を認識し、世界を客観的に探求する「知性」と「理性」という、新たな花を咲かせることができたのです。
 エデンの園を去ることは、子供が親元を離れて自立するような、痛みを伴うがゆえに成長をもたらす、魂の偉大な旅立ちだったのです。

夢、進化、そして「価値実現」を日常に活かす

 これらの一見壮大で、古代の物語のように聞こえるセスの教えは、現代を生きる私たちの日常と、どのように関わっているのでしょうか。
 セスは、これらの知識が、私たちがより豊かで創造的な人生を送るための、実践的なヒントに満ちていると語ります。

 私たちはもはや「夢遊病者」ではありませんが、今でも毎晩、夢の世界を通じて、自らの根源である「内なる自己」と繋がっています。
 夢は、単なる脳の残余活動ではなく、内なる世界からの重要なメッセージであり、創造の源泉です。

「人間の現在の科学技術的な進歩は、印刷機の発明からエジソンの発明に至るまで、ほとんど夢にインスパイアされた直感の閃きに遡ることができます」

 この言葉が示すように、人類の偉大な創造物はすべて、夢の次元でその原型が与えられてきました。
 あなたの個人的な人生においても同様です。
 夢の中には、あなたが直面している問題の解決のヒント、新しいアイデアの種、そしてあなたが進むべき道への導きが隠されています。

 夢日記をつけ、夢の中のシンボルや感情に注意を向けることは、あなたの「内なる自己」との対話を再開し、人生に隠された創造性の流れを汲み出すための、最もパワフルな方法の一つです。
 眠りにつく前に、「この問題について、夢の中で答えを教えてください」と意図するだけでも、驚くような洞察が得られるかもしれません。

「価値実現」とは、何か特別なことを成し遂げることだけを意味するのではありません。それは、日々の生活の中で、あなた自身の本質を最大限に表現しようとする、すべての行為に含まれています。

  • あなたの自然な衝動を信頼する:
     あなたの内側から湧き上がる衝動や情熱、好奇心は、あなたの魂が「価値実現」へと向かうための羅針盤です。
     それは、あなたの「内なる自己」からの「そちらの道が正しい」というサインに他なりません。
     社会的な常識や他人の期待ではなく、あなた自身の喜びと心のときめきに従う勇気を持ちましょう。
  • あなたの「在ること」が貢献であると知る:
     あなたが、あなたとして、ただここに存在している。
     その事実自体が、あなたというユニークな視点を通じて宇宙が自らを経験し、新たな価値を創造する、かけがえのないプロセスなのです。
     自己否定や無価値感は、この宇宙的な真実から目を逸らさせる幻想に過ぎません。
     あなたの存在は、それ自体が宇宙への大いなる貢献です。
  • すべての経験に意味を見出す:
     喜びや成功だけでなく、困難や失敗でさえも、あなたの魂が選んだユニークな経験であり、宇宙全体の「価値実現」に貢献しています。
     あらゆる経験を、学びと成長の機会として受け入れることで、あなたの人生はより深い意味と輝きを放ち始めるでしょう。
     失敗とは、単に「この道は違った」ということを教えてくれる貴重なデータであり、それさえも宇宙の豊かさを増すのです。

まとめ:夢から覚め、そして再び夢を見る旅へ

『セスブック5 夢、進化、そして価値実現』が描き出すのは、私たちの意識が、広大無辺な夢の海から生まれ、個別化された「自己」という一滴の雫となり、そして再び大いなる海へと還っていく、壮大な旅の物語です。

 私たちは、かつて万物と一つであった「古代の夢想家」の記憶を、魂の奥深くに秘めています。そして今、物理的な現実を生きる「現代の創造主」として、自らの思考と感情、そして夢を用いて、新たな現実を共同で創造しています。

 私たちは、物理的な身体以上の存在であり、時間や空間に縛られることのない、無限の意識であるということ。

 そして、私たちの人生の一つ一つが、宇宙全体の「価値実現」という、愛に満ちた神聖な劇の一部であるということを。

 この探求の旅は、終わりがありません。
 常に新しい発見と成長が待っています。
 あなた自身の内なる声に耳を澄ませ、宇宙との調和の中で、あなただけの素晴らしい現実を創造していきましょう。

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ただし、本書は日本語訳版はまだ発売されていないので、英語版のみとなります。

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