セスによる深遠な教えが記載された書籍『知られざる現実 第1巻』。
前編では、意識の基本単位(CU)や可能性のある現実、夢が解き明かす多次元世界の片鱗、そして内なる感覚といったセスの概念を通して、私たちの知覚する現実の多次元的な側面についてまとめました。
この書籍は、現時点では日本語訳が正式に発売されておらず、本連載は英語版の書籍を基に作成しています。
後編となるこの記事では、前編で触れた多次元的な視点をさらに深め、私たち一人ひとりが持つ内なる神性と、それによる現実創造の力に焦点を当てていきます。
現実の隠された側面や、現実の設計図とも言える「青写真」の概念を探求し、夢の科学、内なる探求者(ドリーム・アート・サイエンティスト、メンタル・フィジシスト、完全な医師)としての自己について探求します。
さらに、健康や病気、ヒーリングといったテーマが、私たちの意識や信念、そして内なる神聖な側面といかに深く関連しているのか、セスの視点から見ていきます。

現実の隠された側面:神話、動物、意識の種
私たちが認識している物理現実だけが、存在のすべてではありません。
セスは、神話や動物、そして様々な種類の意識に隠された、現実の多次元的な側面について語ります。
意識の多様な形態と他の種
セスの教えによれば、意識の基本単位(CU)はあらゆる形態をとることができ、その予測不可能性から無数の生命体が誕生しました。
動物と人間の意識は異なると感じられますが、根本的にはすべて繋がっています。
これは、バシャールが説く「分離の幻想」 や、アシュタールが語る根源的な存在(絶対無限の存在 、オール・ザット・イズ )から分かれたすべての存在が本質的に同じであるという「ワンネス」の概念とも通じます。
神話には、過去に様々な形態で地球に存在した他の種の描写が含まれており、フェアリーや巨人、人間より小さい種や大きい種もいたとセスは示唆しています。
これらの物語に登場する動物神は、意識が異なる形態をとった実験のヒントでもあるのです。

人間以外の知性
かつて人間と動物の境界は今ほど明確ではありませんでした。
セスは、過去には高い知能を持つ鳥の種がいたことに触れ、彼らが人間と協力関係にあり、後の神話における天使のイメージに影響を与えた可能性を指摘しています。
また、イルカは高度な脳とコミュニケーション能力を持ち、人間以外の種への認識も高い存在として挙げられています。
マーメイドの伝説も、かつて存在した高度な水生種のヒントではないかと語られます。
アシュタールが述べるように、宇宙の根源的な存在が自身の意識を分け、個性のエネルギーを創り出すことで多様な経験をしていると考えるならば、これは意識が多様な形態、すなわち「意識の種」として現れることと関連していると言えるでしょう。
バシャールが「地球上には宇宙人とコンタクトを持つ先住民や子孫が存在」 すると述べるなど、多様な存在や意識の形態を示唆する他の高次元存在の教えとも関連付けられます。
自然界に宿る意識と内なる神性

セスは、人間以外の他の種の意識も存在し、それらはエネルギーの中に現実を持ち、自然物と繋がっている(例えば、木の精霊のような存在)と語ります。
私たちは、外部の違いだけでなく、内なる意識の質的な違い、「意識の種」にも目を向ける必要があります。
人間は神性と地球の要素から作られており、内なる神性を自己の中に見出すことが重要であるとセスは提案しています。
これは、単に外部に存在する神を信じるのではなく、自己の内側に神聖な側面、あるいは高次の意識が存在することを認識するということです。
現実の青写真:内なる設計図
私たちの物理現実が、単なる偶然の産物ではないとすれば、それは一体どのようにして形作られているのでしょうか。
セスは、すべての現実には「青写真」とも呼べる内なる設計図が存在すると説明します。
変化し続ける内なる作業計画
各可能性システムには、最も最適な構造を定める青写真が存在します。
しかし、これは固定された完璧なイメージではありません。
むしろ、それは内なる作業計画であり、そのシステム内の活動によって変化し、拡張していきます。
個人レベルでは、私たち一人ひとりが、自身の最も最適なバージョンをもたらすための青写真を内に持っています。
この青写真は、生物学的なレベル(遺伝子や染色体に組み込まれる情報)だけでなく、精神的、霊的、心理的なあらゆるレベルに存在しています。
物理構造は、この情報の運び手に過ぎません。これは、バシャールが魂の中にハイアー・マインドとフィジカル・マインドがある と述べるような、自己の多層的な構造を示唆するものです。

集合的な青写真と現実創造
種全体もまた、内なる心の中に集合的な青写真を持っています。
私たちがそこから引き出す理論、アイデア、文明、そして技術は、この集合的な青写真に基づいています。
プラトン哲学では、理想世界が完璧で完成されたものと見なされましたが、セスは、それを固定してしまうと創造性が否定されると指摘します。
むしろ、人間は自身の魂の性質により、この青写真の創造にも積極的に関わっているのです。
夢の中で青写真に気づかされることがある(例えば「イルミネーションの夢」)とセスは示唆しています。
これは、夢が単なる無意識の活動ではなく、内なる高次の情報へのアクセスポイントであるという示唆です 。
思考は現実の青写真
セスは、意識の基本単位(CU)が、現実の青写真が存在する「ウィズィンネス」(内側)に繋がっていると語ります。
そして、私たちの思考こそが、現実の直接的な個人的な青写真なのです。
バシャールが「信念(観念)が現実を創造する」と述べ、アシュタールが「個々の思考が現実を創造する」と語るように、セスの教えは思考の持つ現実創造の力を強調しています。
思考の操作は、物理的な操作よりもはるかに実践的であり、私たちがどのような現実を体験するかを決定づける内なる力なのです。
内なる科学の探求者たち
自己の内なる神性や現実創造の力を理解し、活用するためには、特別な探求が必要です。
セスは、私たち一人ひとりが、それぞれ異なる側面から内なる現実にアクセスできる「内なる科学の探求者」となりうると提案します。
夢の芸術家(ドリーム・アート・サイエンティスト)
かつて古代文明が意識的に行っていたように、夢は単なる無意識下の現象ではなく、創造性の尽きない源泉であり、多次元現実へのアクセスポイントです。
真のドリーム・アート・サイエンティストは、夢の状態でも意識を保ち、夢の異なるレベルや現実を探索し、その法則を理解します。
夢と覚醒現実のシンボルや関連性を認識することで、夢の持つ現実創造の力を活用できるようになります。
これは、失われた「古代の芸術」を回復することであり、意識的な訓練によって習得可能、とセスは述べています。
心の物理学者(メンタル・フィジシスト)

真のメンタル・フィジシストは、外部の道具に頼るのではなく、自身の意識を使って宇宙の深層を探求します。
アインシュタインが内なる声に耳を傾け、意識を拡張したように、彼らは意識を原子や細胞のレベルに到達させ、その性質を理解しようとします。
物理学者は自己の意識の中で「振り返る」ことで、外部の観測だけでは得られない洞察を得ます。
真の科学者は、外部ではなく内部の宇宙を探求し、物理現象の背後にある意識を認識する必要があるとセスは強調しています。
これは、研究対象から自身を切り離す従来の科学とは異なるアプローチです。
健康、病気、そしてヒーリングの力
私たちの体は、意識や信念と深く繋がっています。
セスは、健康や病気が単なる肉体的な現象ではなく、私たちの内なる状態を映し出していると説明します。
健康や病気のダイナミクスは、個人の意識、思考、感情に深く関連しています。
バシャールが病気の原因は観念にあると述べているように、セスもまた思考、欲望、感情が健康を調整するという視点を示しています。
医療技術の役割と限界
現代の物理的な医療技術は、特定の病気を「征服」することに長けているように見えます(手術、薬、衛生など)。
しかし、セスは、これらの技術が進化しても、人々は別の病気や別の方法で人生を終える可能性が残ると指摘します。
人々は内なる決定に従って人生を終えるのであり、どんな医療をもってしても、その人が死を選ぶ意思を持っている場合は防げないことがあるのです。
一方、生きたいという強い意思を持つ人は、どんなに小さな希望にも反応し、回復に向かう力を持っています。
完全な医師と真のヒーリング

真のヒーリングは、個人の内なるメカニズム、魂の力、意識、信念、そして細胞の振る舞いの相互関係に関わります。
セスは、「完全な医師」という探求者にも触れています。
完全な医師は、健康、病気、そしてヒーリングの真実を理解しています。
彼らは魂と体の関係性を理解し、自身が健康であることを通して活力のダイナミクスを理解しています。
彼らは健康な人から健康促進の方法を学び、病気の診断ではなく健康を促進することに焦点を当てます。
完全な医師は、ヒーリングにおける魂の力、意識、信念、そして思考と細胞の関連性を深く理解しています。
彼らは患者を疾患そのものから切り離さず、その人の内なる活力と人生の目的をサポートすることで、真のヒーリングを促します。
バシャールが病気の原因は観念にあると述べているように、セスもまた思考、欲望、感情が健康を調整するという視点を示しており、完全な医師はこの内なるメカニズムに精通しているのです。
現在の医療は患者を疾患から分離させ、医師は患者の現実と一体化する必要があるとセスは考えます。
しかし、現在の医療は患者を自己から分離させる傾向があると批判します。
健康は病気の人から学べるのではなく、健康な状態そのものから学ぶべきと述べています。
病院は病気を治療する場所かもしれませんが、健康のメカニズムを学ぶ場所ではありません。
幸福が不幸な人から学べないように、健康も病気の人からは学べないのです。
健康な人が健康の手法を理解しているということです。
あなたの内なる力:現実創造の実践
私たちは皆、自身の現実を創造する力を持っています。
セスは、内なる神性と繋がることで、この力をより意識的に発揮できるようになると説きます。
現実を形作る青写真と思考
セスは、私たちの体験する物理現実が、その背後にある「青写真」、すなわち内なる設計図から生まれると説明します。
この青写真は私たちの中に存在し、それは探求すべき未知の現実です。
青写真は固定されたものではなく、私たちの意識や活動によって常に変化し、拡張していきます。
そして、私たちの「思考」こそが、この現実の直接的な個人的な青写真なのです。
思考の操作は、物理的な道具を使った操作よりもはるかに実践的で強力な力です。
バシャールが「信念(観念)が現実を創造する」と述べ、アシュタールが「個々の思考が現実を創造する」と語るように、セスの教えもまた、思考が現実を形作る根源的な力を持っていることを強調しています。
私たちの思考は、現実創造の場である『内なる神性』に直接繋がっているのです。

意識拡張と内なる探求
自己の内なる力、すなわち内なる神性や現実の青写真が存在する領域へアクセスするためには、意識の拡張が不可欠です。
セスは、意識拡張が人生のあらゆる領域で実践可能な探求であると述べています。
内なる探求者、例えば夢の芸術家(ドリーム・アート・サイエンティスト)や心の物理学者(メンタル・フィジシスト)といった視点を持つことは、この内なる現実を理解することを可能にします。
夢の探求や、意識を原子や細胞レベルに向ける練習を通して、私たちは普段認識しない現実の側面を理解することができます。
これらの内なる探求は、最終的に内なる知恵、魂の知恵へと繋がります。
セスが提案する(前編で紹介した)プラクティス・エレメントは、このような内なる探求を始めるための具体的な方法論と言えるでしょう。
自己と宇宙の繋がり

私たちの持つ力は、単なる個人的なレベルに留まりません。
セスは、科学技術はあくまで道具にすぎず、真の力は私たち人間自身に宿ると強調します。人間は自然の一部であり、宇宙の深いリズムと調整されています。
私たちは自身の意識を通して、自然現象に影響を与える可能性さえ持っています。
例えば、科学技術が発展する以前から、人間は天候や地震といった自然現象の前兆を感覚能力で感じ取ることができたとセスは示唆しています。
現代科学技術は、これらの内なる能力を「置き換え」てしまい、人間が自身の持つ自然な力に気づきにくくさせている側面があるのかもしれません。
そして、個人の選択や行動は、集合的な種全体に影響を与えます。
セスの視点では、個人の善は社会全体の善であり、これは自己の内なる側面、すなわち個々の魂の完全性を認識することにかかっています。
あなたが自分自身の現実の創造主であると同時に、集合的な人類の経験にも関わっていることを理解し、内なる力を意識的に使用することが、個人と全体の調和、そしてより豊かな現実創造に繋がるのです。
まとめ:あなたはあなた自身の知られざる現実の創造主
この記事を通して、私たちはセスによる『知られざる現実 第1巻』の教えに触れ、私たちが普段認識している現実の、驚くべき多次元的な側面を探求しました。
前編では、可能性のある現実や意識の基本単位、予測不可能性が世界の根源にあることを学び、夢や内なる感覚が多次元世界への扉であることを知りました。
後編では、神話や他の種との繋がり、現実の青写真といった概念を通して、現実が内側から創造されていること、そして夢の芸術家、心の物理学者、完全な医師といった内なる探求者としての私たちの役割を見てきました。
健康や病気が意識と深く関連していること、そして思考が現実の直接的な青写真であることも確認しました。
セスが『知られざる現実 第1巻』を通して繰り返し伝える核心的なメッセージは、シンプルかつパワフルです。
それは、あなたがあなた自身の現実の創造主であるということです。
あなたの意識、思考、信念が、あなたが体験する世界を文字通り形作っています。
自身の内に秘められた神聖な力と、自己が持つ無限の可能性に気づき、それを信頼することで、あなたは意識的に、そして意図的に、あなたの人生というユニークで素晴らしい現実を創造していくことができるのです。
この「知られざる現実」の探求が、あなた自身の内なる力を目覚めさせる一助となれば幸いです。
