セスブック1「セスは語る」の要約と解説(後編):未来は一つではない!「確率的世界」と多次元的自己への覚醒

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 これまでの『セスは語る』の旅で、私たちは「意識が現実を創る」という創造主の力と、死を超えた「魂の永遠の旅」を知り、自らの存在の確かな土台を築いてきました。

 しかし、セス哲学の真髄はここからです。

 最終章となる後編では、その土台すらも飛び越え、世界の「壁」を溶かし、無限の可能性へと自らを解放していきます。
 その鍵は「未来は、一つではない」という衝撃的な概念です。
 あなたが選ばなかった、ありえたかもしれない全ての人生が、単なる空想ではなく、今もどこかで「現実」として存在しているとしたら──?

 この記事では、無数に存在する「確率的な現実」、それらすべてを同時に生きる「多次元的な自己」の正体、そして絶対的な善悪の概念を超えた、セス哲学の最も深遠な領域へと分け入ります。

本記事のラジオ形式の音声版をご用意いたしました。
文章を読む時間がない時や、リラックスしながら内容を深く味わいたい時などにご活用いただければ幸いです。

目次

確率の驚くべき世界:すべての可能性は「現実」である

多次元世界の夢

 私たちは日々、無数の選択をしながら生きています。
 「どの道を通るか」「誰に電話をかけるか」「何を考えるか」。
 私たちは通常、選んだ一つの道が「現実」となり、選ばなかった道は消えてなくなると考えています。
 しかしセスは、その常識を根底から覆します。

 セスによれば、あなたが選択しなかった全ての可能性は、決して消滅するのではありません。
 それらは「確率的な現実(Probable Realities)」として、私たちの現実と並行して存在し続けているのです。
 あなたがAという選択をした瞬間、Bという選択をした「もう一人のあなた」が、別の確率的現実の中でその人生を歩み始めています。

 宇宙は、考えうる全ての可能性を現実として探求したいという、無限の創造的衝動に満ちています。

 私たちの人生は、その無限に広がる可能性の木の一本の枝を登っているようなものですが、他の全ての枝もまた、同じように力強く成長し、葉を茂らせているのです。

「あなたがたは、一つの輝かしい現実の中に固く閉じ込められているのではありません。あなたがたは、無限の可能性のただ中に、恵み深くたたずんでいるのです」

 セスが形而上学的に説いたこの壮大な宇宙観を、バシャールは現代の私たちに分かりやすい物理的なモデルとして提示してくれています。これが「パラレルリアリティ(並行現実)」の概念です。

  • 映画のフィルムの比喩:
     私たちの現実は、連続した一枚の動画のように見えますが、実際には、一コマ一コマが完全に静止した別の宇宙(パラレルリアリティ)です。
     私たちの意識が、1秒間に何十億回という驚異的な速さでこれらのコマを移動することで、時間と動きの「幻想」が生まれています。
  • テレビのチャンネルの比喩:
     無数に存在するパラレルリアリティは、それぞれが異なる周波数を持つテレビチャンネルのようなものです。
     そして、あなたの「信念」や「感情」が、テレビのリモコンの役割を果たします。
     あなたが特定の周波数(例えば「喜び」や「豊かさ」)に自分を合わせると、その周波数を持つ現実のチャンネルが、あなたのスクリーン(五感)に映し出されるのです。

なぜ全ての可能性を「体験」できないのか?

 では、無数の可能性があるのに、なぜ私たちは一つの現実しか認識できないのでしょうか?

 その答えは、私たちの「信念体系(ビリーフシステム)」が、極めて強力な「周波数フィルター」として機能しているからです。
 セスによれば、私たちの五感は、自らが「これが現実だ」と信じている周波数帯域の現実しか知覚できないように、意識によってチューニングされています。

 このフィルターはまた、無数の情報によるカオスから自我(エゴ)を守るための、意識の「安全装置」でもあります。この安全装置があるからこそ、私たちは一つの現実に集中し、意味のある体験をすることができるのです。

 もしこのフィルターがなければ、私たちは、ありとあらゆる確率的現実を同時に知覚してしまいます。
 成功している自分、失敗している自分、男性の自分、女性の自分、過去の自分、未来の自分…その膨大な情報量に、私たち個人の意識は耐えきれず、アイデンティティは崩壊してしまうでしょう。
 物理次元という「一つの時間、一つの空間」に意識をフォーカスし、原因と結果を学び、感情を深く味わうという貴重な体験は、この強力なフィルター機能があって初めて可能になるのです。

 現実を変えるとは、今の現実を無理やり変形させることではありません。
 それは、自らの「周波数」を、望む現実の周波数へと意識的に合わせ直す、繊練でパワフルな内面の作業です。

その具体的なステップは以下の通りです。

  1. 信念の特定:
     ネガティブな感情を手がかりに、「自分は本当は何を信じているのか?」と問いかけ、無意識のプログラムに光を当てます。
  2. 信念の再選択:
     その古い信念の有効性を問い直し、より自分を力づける、新しい信念を自らの意志で「再選択」します。
  3. 新しい周波数の体現:
     新しい信念を持つ自分として考え、感じ、行動します。
     この「ふり」ではなく「体現」を通じて、自らの平均周波数を変え、それに共鳴する新しい現実を引き寄せるのです。

この内面の作業こそが、「現実創造」の核心をなすテクノロジーです。

「多次元的自己」への覚醒:あなたは誰なのか?

 では、無数の確率的現実の中に存在する、無数の「あなた」は、一体何なのでしょうか?
 バラバラの個人なのでしょうか?
 セスは、それら全てを統合する、より広大な自己の存在を明らかにします。

 中編でも触れた、私たちの魂の本体である「全体我(エンティティ)」、あるいは一般的に「ハイヤーセルフ」と呼ばれる存在が、ここでも鍵となります。
 エンティティは、自らの無限の可能性を探求するために、無数の「確率的な自己」を、あらゆる可能性の現実へと送り出しているのです。

 今この現実を生きている「あなた」は、エンティティという巨大な意識体から派遣された、一人の優秀な「フィールドエージェント」のようなものです。
 そして、他の確率的現実を生きる全てのあなたもまた、同じエンティティに属する仲間なのです。
 あなたは決して一人ではありません。
 あなたは、文字通り「多次元的な自己」なのです。

多次元的自己と「対話」する方法

 この広大な自己との繋がりは、決して理論上の話ではありません。私たちは、日常生活の中で、その存在を感じ、対話することができます。

  • 直感:
     直感は、時間と空間を超えた視点を持つ多次元的自己が、全ての確率を見渡した上で、「あなた」にとって最善の道を知らせてくれる、いわば「未来からのデータダウンロード」です。

     直感を受け取るには、静寂の時間を持つことが最も重要です。
     瞑想、自然の中の散歩、あるいはただ静かにお茶を飲む時間。

     思考のノイズが静まるとき、魂のささやきは聞こえやすくなります。
     そして、小さな直感(「今日はこの道を通ってみよう」「あの人に連絡してみよう」)を信頼し、勇気を出して行動に移すこと。
     その行動がポジティブな結果に繋がる体験を重ねることで、直感への信頼は揺るぎないものとなり、チャンネルはよりクリアになっていきます。

  • 夢:
     夢は、異なる確率的現実を生きる自己と情報交換をしたり、エンティティから直接ガイダンスを受け取ったりするための、最も重要なプラットフォームです。

     これには、眠る前に意図を設定することが鍵となります。
     「今夜、〇〇の問題に関するヒントが欲しい」「私のガイドに会いたい」と具体的に意図することで、夢の内容をある程度方向づけることができます。
     そして、枕元に夢日記を用意し、目覚めたらすぐに書き留める習慣をつけましょう。
     夢の記憶はすぐに蒸発してしまいます。
     断片的なイメージや感情だけでも記録し続けることで、あなたの潜在意識は「あなたは本気で耳を傾けている」と認識し、より明瞭で意味のあるメッセージを送ってくるようになります。

  • シンクロニシティ:
     シンクロニシティとは、心理学者カール・ユングが提唱した「意味のある偶然の一致」です。
     あなたの内なる意識と現実の周波数が共鳴したときに起こる、多次元的自己からの「大丈夫、その道で合っているよ」という愛に満ちたサインです。

     これらのサインに気づくためには、日常の些細な出来事へ意識的に注意を払い、偶然で片付けないことが大切です。
     そして、気づいた時に「メッセージをありがとう」と心で感謝することで、宇宙との対話のパイプはさらに強固なものになっていきます。
     
  • ワクワクする気持ち:
     バシャールが説く「ワクワク」は、あなたの魂が「そっちの方向だよ!」と指し示してくれる、最も信頼できるコンパスです。それは、多次元的自己からの、愛に満ちたナビゲーションなのです。

善と悪、そして宗教を超えた視点

このような広大な視点に立つとき、私たちが固く信じてきた「善」と「悪」の概念もまた、その姿を変え始めます。

 セスによれば、エンティティ、そしてその根源である「すべてなるもの」のレベルには、人間的な意味での善悪のジャッジメントは存在しません。
 存在するのただ、純粋な「体験」への欲求です。
 『神へ帰る』で語られる「無条件の愛」とは、光も闇も、喜びも悲しみも、その全てを抱擁し、そのすべての中に価値を見出す、絶対的な愛だからです。

 では、なぜこの世界には、私たちが「悪」と呼ぶような、苦痛に満ちた出来事が存在するのでしょうか?

 それは、魂が「コントラスト(対比)」を通してしか学べない特定の質があるからです。

 光の価値は、闇を知ることで初めて深く理解できるように、愛や慈悲、強さといった資質は、憎しみや無力感、困難といった強烈な体験を通して、より深く、より力強く磨かれるのです。

【極めて重要な注意点】
 この高次の視点は、物理次元での非倫理的な行為や他者を傷つけることを、決して容認・正当化するものではありません。
 むしろ、このコントラストに満ちた世界で、私たちが自らの自由意志で「愛」や「思いやり」を選択することが、いかに尊く、宇宙の進化にとって重要な貢献であるかを、より深く理解させてくれるのです。

 セスによれば、キリスト教や仏教などの既存の宗教は、人類が自らの内なる神性を理解するために創造された、重要な「霊的な訓練体系」でした。
 それらは、真理の断片を保存し、人々に生きる指針を与える「ゆりかご」としての役割を果たしてきたのです。

 しかし、時と共にその純粋な教えは硬直的な教義(ドグマ)となり、神を人間の「外部」にある絶対的な権威として分離させてしまいました。
 その結果、人々は自らの内なる力を忘れ、時には罪悪感や恐怖によってコントロールされることもありました。

 セスや他の多くの存在が指し示す新しい時代の意識とは、この「外部への依存」から卒業することです。

 それは、組織や特定の救世主に頼るのではなく、私たち一人ひとりが、自らの内なる声(直感やワクワクする気持ち)を羅針盤とすることに他なりません。

 つまり、自分自身のハートの内側に揺るぎない「個人の神殿」を築き上げ、自らが自らのグル(教師)となって、魂の叡智や「すべてなるもの」と直接繋がっていく――それこそが、これからの時代の、個人の目覚めのプロセスなのです。

まとめ:覚醒した創造主として生きる・最後の招待状

 『セスは語る』の三記事にわたる旅も、ここで一つの区切りを迎えます。
 私たちは、セスという偉大な教師の導きにより、驚くべき宇宙の姿と、私たち自身の本当の姿を垣間見てきました。

 私たちが学んだことの核心。

 それは、私たちは、一本の決められた運命を歩む物語の「登場人物」ではなく、無限の可能性の中から、毎瞬、自らの現実を選択している物語の「作者」であるという真実です。

 この理解は、私たちに「究極の自由」と「究極の責任」をもたらします。

 この壮大な知識を得て、私たちはどう生きれば良いのでしょうか。

 それは、この現実から逃避することではありません。
 
 むしろ逆です。

 自らが「無限の存在」であることを知った上で、あえて「有限のこの人生」という、自らが選んだ最高の舞台を、最大限に味わい、楽しみ、愛し、創造していくことです。

 あなたは、無限の可能性を持つ多次元的な芸術家です。
 そして、今この人生は、あなたが心血を注いで描き出すことを選んだ、一枚のユニークな傑作なのです。
 どのような色を使い、どのような物語を紡ぐかは、すべてあなたの手に委ねられています。
 あなたの内なる羅針盤である「ワクワク」に従い、ハートが喜びを感じる選択を、今この瞬間から積み重ねていってください。<(_ _)>

ブログを読んで、セスに関してさらに見識を深めたいと思ったら、ぜひ本書を手に取ってみてください。

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